なぜ2列ミニバンと3列SUV誕生? 需要の隙間を埋める新たなモデルとは
SUVに3列目が追加されたワケとは?
近年、SUVジャンルが人気です。現在のSUVは2010年頃からブーム化し始めたといわれています。従来、2列シート車が定番でしたが、3列シート車を設定する車種が登場しています。
国産SUVにおいて3列シート車を備えるモデルは、トヨタ「ランドクルーザー」「ランドクルーザープラド」、ホンダ「CR-V(ガソリン車)」、日産「エクストレイル(ガソリン車)」、三菱「アウトランダー(ガソリン車)」、マツダ「CX-8」です。
マツダ以外では、基本的にガソリン車で3列シートを設定していることが多く、ハイブリッド車(PHEV車含む)ではバッテリーなどの配置場所の関係で2列シートになっています。
また、各車種の3列目はお世辞にも快適とはいえず、あくまでもエマージェンシー要素が強いようです。
2018年のフルモデルチェンジ時にCR-Vへ3列シート車を追加した背景について、ホンダの商品企画課 安井貴政氏は、次のように説明します。
「新たな可能性として7人乗りを設定しました。3列目の居住空間は、『SUVの可能性をひろげる』というコンセプトです。
成人男性(身長170cm)では、頭上のスペースが若干狭いものの問題なく乗車できます。既存のミニバンユーザーの方にもきっと興味を示していただける内容となっているはずです」
また、アウトランダー(3列シート)とアウトランダーPHEV(2列シート)をラインナップする三菱の担当者は次のように話します。
「2005年に登場した初代アウトランダーでは、2列シートの5人乗りと3列シートの7人乗りが設定されていました。当時は、SUVに求めるものとして悪路走破性重視から使い勝手や機能性を重視するトレンドに代わりつつあったこともあり、3列シートを設定したと聞いています。
その後、2012年に2代目モデルにフルモデルチェンジした際に、ガソリン車を3列シートのみとして、後から登場したPHEV仕様を2列シートだけで展開し、今に至ります」
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これらのようにミニバンには、従来の「人や物を運ぶ」というものから「アクティブかつ自由な使い勝手」というニーズの高まりから2列シート車が登場しました。
一方の3列シートSUVは、かつての「アクティブで走破性重視」ではなく、「移動するうえでの快適性」が求められた結果として追加されたようです。
一見、似たようなニーズに思えますが、ミニバンは四角いボディとスライドドアで、居住性と乗降性に優れています。その反面、背の高いボディ形状は、悪路や高速走行時など安定性に欠ける部分があります。
一方の3列シートを備えるSUVは、居住性ではミニバンにかないませんが、悪路も走れる機動力や剛性の高いボディのおかげで走破性は抜群です。
そのため、多様化するニーズのなかで「何を重視するか」という細かな要望に対応する隙間を補うために誕生したのが、2列ミニバンと3列SUVなのかもしれません。
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