なぜトヨタだけ販売? 国内でハイラックスしかピックアップが存在しないワケ

日本におけるピックアップトラックの独特な立ち位置とは

 ここで、日本市場におけるピックアップトラックの立ち位置について考えてみます。

スズキ「スーパーキャリイ」
スズキ「スーパーキャリイ」

 一般的に小型トラックというと、いすゞ「エルフ」、日野「デュトロ」、三菱「キャンター」などの2トントラックがありますが、これらを乗用として使うにはボディサイズが大き過ぎます。

 一方、日常使いの小型トラックといえば、日本にはスズキ「キャリイ」とダイハツ「ハイゼットトラック」などという、軽自動車規格の商用車があります。これらを乗用で使うケースはありますが、長距離移動には不向きです。

 筆者は2019年10月に、実際にスズキ「スーパーキャリイ」(リクライニング機構が追加されたキャリイ)を借りて、数日間首都圏内で使ってみました。

 その際、高速道路でも走行しましたが、最新型とはいえ、高速走行での乗り心地は軽自動車の乗用モデルと比べるとかなりしんどく感じました。

 また、軽トラック市場は徐々に縮小傾向にあり、ホンダは2021年で「アクティ」の生産を中止します。

 そんな軽トラより乗り心地も良く、かつ積載量が多く、さらに2トントラックほど商用っぽくないトラック。それが、ピックアップトラックなのです。

 ちなみに、その昔ハイラックスのライバルだったのが、日産「ダットサントラック」、通称「ダットラ」です。

 ガソリンスタンドが灯油を配達するために「ダットラ」がよく使われていましたが、日産は日本のピックアップトラック市場から撤退。日本ではハイラックスの独壇場になっています。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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