なぜボンネットに穴がある? かつては「ターボ車の証」だった理由とは
ひと昔前には、ボンネットに穴(ダクト)が空いているクルマを見かける機会がありました。しかし、最近の軽自動車や普通車のほとんどには、ボンネットにダクトはありません。このダクトには、どのような役目があるのでしょうか。
空気の流れを利用する、さまざまな「ダクト」
かつては、ボンネットに穴(ダクト)が空いているクルマを見かける機会がありました。しかし、最近の軽自動車や普通車のほとんどには、ボンネットにダクトはありません。このダクトには、どのような役目があるのでしょうか。
ボンネットにダクトのあるクルマの多くは、「ターボチャージャー」を搭載しています。ターボチャージャーは、小さなエンジンでもパワーを出せるメリットがありますが、その構造上エンジンが取り入れた空気が熱くなりやすいデメリットも持っています。
そのため、ターボ車には取り入れた空気を冷却するための「インタークーラー」がセットで搭載されているのです。
例えば、スバル「レヴォーグ」では、ボンネットの中心に大きなダクトがあります。そのなかにはインタークーラーが設置され、走行すると風がインタークーラーに当たり、エンジンが吸い込む風を冷やしています。これがなければ、エンジンは熱い空気を吸い込んでしまうため、本来の力を発揮できなくなってしまいます。
ダクトについて、スバルの販売店スタッフは、以下のように話します。
「ボンネットのダクトはスバルのアイコンにもなっています。そのため、レヴォーグやWRXなどの車種では、今でもボンネットにインタークーラー用のダクトを開けています。
効率よく冷やすのではあれば、フロントバンパーの中に設置するべきなのでしょうが、これまでのイメージもあるので変えることは難しいのかもしれません」
スバルではターボ車のシンボルとして、欠かせない装備となっているようです。しかし、ホンダ「シビックタイプR」やレクサス「RC-F」では、ほかの理由からダクトを採用しているといいます。
「シビックタイプRにはダクトが装着されていますが、これはインタークーラー用のものではありません。シビックタイプRのインタークーラーはフロントバンパーのなかにあり、ボンネットのダクトはエンジンルームの熱を効率よく逃がすために設けられたものです」(ホンダ販売店のスタッフ)
「RC-Fは、ターボ車ではありません。ボンネットのダクトは、エンジンルームのなかで発生した熱を排出するために設けられています。
Fシリーズはほかの車種に比べて排気量の大きなエンジンを搭載し、スポーツ走行を意識して作られているため、空力を活かす設計がされています」(レクサス販売店のスタッフ)
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シビックタイプRは、ターボ車特有のエンジンルーム内の熱を効率よくするためにダクトが設けられ、ターボ車ではないRC-Fでは、ボンネットのダクト以外にもフロントフェンダー部分にも同様のダクトが備わっています。
なお、日産の調査によれば、エンジンルーム内の温度分布は80度から90度が多く、高いところでは100度以上の熱を発している部分もあるといいます。
そのため、「RC-F」では、フロントタイヤを収める「フェンダー」にも、熱を逃がすためのダクトが装備されています。
かつては、「ターボ車の証」的な存在だったボンネットのダクトですが、近年では熱効率の問題や空力特性などの目的が大きいようです。
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