ガソリンスタンドで携行缶の販売を中止? その背景には京アニ事件が関係していた!

ガソリンを使った凄惨な事件を防ぐために、携行缶を利用してのガソリンの小分け販売に本人確認が義務付けられました。さらに、携行缶での小分け販売を中止するガソリンスタンドも増えています。その背景には、どんな経緯が隠されているのでしょうか。

ガソリンスタンドが自主的に携行缶の販売を辞める理由とは?

 近年、携行缶でのガソリン販売を取りやめるガソリンスタンドが増加し、多くの消費者が困惑の声を上げています。

ガソリンスタンドのイメージ
ガソリンスタンドのイメージ

 この背景には、2019年7月18日に起こった「京都アニメーション放火殺人事件」が大きく関係しています。

 事件では、犯人は京都アニメーションのスタジオに侵入し、ガソリンを撒いて放火しました。

 その結果、京都アニメーションに務める69人の社員が被害に遭い、うち36人の死亡が確認されています。

 犯人は事件直前に約40リットルのガソリンを、携行缶で購入していたことが分かりました。

 この事件をきっかけに、総務省消防庁は危険物の規制に関する一部を改正し、次の取り組みに対する協力を全国のガソリンスタンドに通達しています。

(1)ガソリンの容器詰替え販売における本人確認等
(2)セルフ給油取扱所におけるタブレット端末等による給油許可等
(3)給油取扱所における屋外での物品販売等

 ガソリンを使った凄惨な事件を抑止するために、携行缶でガソリンを販売する際の身分の証明と使用目的の確認を義務付けたのです。

 また、こうした働きによって、ガソリンスタンド側も携行缶販売を自粛する動きが活発になりました。

 北陸を中心にガソリンスタンドを運営しているカナショク エネルギー事業では、以下のように述べています。

「2019年7月18日にアニメ制作会社『京都アニメーション』で起きた放火殺人事件を受けた2020年2月からの法改正により、自走できる車両以外への携行缶などに入れてガソリンを販売する場合は、購入者の身元や使用目的の確認が事業者に義務付けられることとなりました。

 個人情報の管理の観点や慢性化している人員不足から、弊社では適切な対応ができないと判断したため、2020年2月1日よりカナショク全店で携行缶等への販売を中止しております。

 お客様には大変ご不便をおかけいたしますが、弊社としても苦渋の決断でございますので何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」

 このように、携行缶での販売フローが義務付けられたことで、ガソリンスタンド側の負担が大きくなり、やむを得ず販売中止を決断する店舗も少なくありません。

 なぜなら、携行缶の注文を受けると必ず、危険物取扱者の資格を持つ従業員、もしくはその立ち会いのもとで別の従業員が作業をおこなう必要があり、洗車や車検などの業務を中断して携行缶の給油に回らなければならないため、スタッフへの負担が大きくなってしまうのです。

 携行缶での販売について、都内ガソリンスタンドのスタッフは以下のように話します。

「携行缶でのガソリンの販売を取りやめる店舗も多いのですが、弊社はいまでも販売しており、今後も販売を中止する予定はありません。

 基本的に、セルフのガソリンスタンドでなければ、携行缶の販売をしているところが多いと思います。セルフサービスのスタンドは待機スタッフも少ないので、小分け販売に対応していないところも多いでしょう。

 実際に、販売する時は免許証のコピーを必ず取らせてもらいます。ガソリンスタンドによって変わりますが、一回身分証を提示してもらえれば、個人情報を登録させていただいて、次回購入する時は、提示の必要はありません。

 ただ、他のガソリンスタンドのなかには、購入するたびに身分証の提示を求めるケースもあるようです。

 また、携行缶の小分け販売をする際は、使用目的を詳しく聞いています」

 このように、フルサービスのガソリンスタンドは、セルフサービスのガソリンスタンドに比べ、比較的携行缶でのガソリン販売を継続していることが分かりました。

 しかし、セルフサービスのスタンドなど、人材が不足している場合は、その対応が難しくなってしまうようです。

 こうした状況に対し、消防庁は以下の見解を述べています。

「人手不足などを理由に、詰替え販売を控えるセルフスタンドが増えているため、最近では本人確認などによる負担を極力軽減するために、継続的に取引のある方には本人確認書類の提示を省略するなどの臨機応変な運用を検討しています。

 また、セルフスタンドの運営を効率化するために、タブレット端末での給油許可が行えるよう、規定の整備をおこなっています」

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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