エコ車増加でトンネルが変化? 昔はオレンジもいまは「白」 照明の色が変わる理由とは
ひと昔前は、トンネルの照明といえばオレンジ色が当たり前でした。しかし、最近は自然光に近い白い照明が用いられたトンネルも増えています。なぜ白い照明が用いられるようになったのでしょうか。
トンネルの照明といえばオレンジ色だった
ひと昔前は、トンネルの照明といえばオレンジ色が一般的でした。しかし、最近のトンネルに使用される照明は白色のものが多くなっています。なぜ白い照明が用いられるようになったのでしょうか。
以前は、高速道路上の側道やトンネル内の照明の多くにオレンジ色が採用されていました。
しかし、新しく建設されたトンネルやリフレッシュ工事後の側道照明には、白色の照明が増えています。
元々、トンネル内の照明がオレンジ色だった理由について、トンネル用の照明を取り扱うパナソニック株式会社 ライフソリューションズ社の担当者は次のように話します。
「従来のトンネル用照明には、ナトリウムランプが使用されていました。ナトリウムランプは消費電力が少なかったのです。トンネルの照明は1日中点灯し続けなければならないため、消費電力は重要な要素です。そしてこのナトリウムランプが、オレンジ色に光る照明でした」
ナトリウムランプは、街灯などに使用されていた水銀灯にくらべ、消費電力が半分から3分の1程度と経済的なだけでなく、ランプの寿命が長いという特徴があったことから、24時間点灯し続けなければならないトンネル内の照明に用いられていたようです。
また、中日本地区の高速道路を管理するNEXCO中日本によればナトリウムランプは、排気ガスなどで空気が汚れたトンネル内部でも視認性が高く、経済性にも優れ、虫を引き寄せない特徴もあるといいます。
そのため、1960年代から1999年頃まで、長期間にわたって高速道路のトンネルを照らす定番の照明でした。
しかし、2000年代に入ると、トンネルを照らす照明の色が次第に変わっていきます。
最初に登場した「蛍光ランプ」は、消費電力はナトリウムランプと同程度ですが、ランプの耐用年数(寿命)が30%ほど長く、色彩は青色なのが特徴です。
ちなみに、東日本地区の高速道路を管理するNEXCO東日本は、次のように説明します。
「2000年頃には、排気ガスが1960年代から1970年代に比べて綺麗になり、橙色のナトリウムランプでなくても、不都合はあまり生じなくなりました。
また、光がオレンジ色の場合、赤系統の車両が見にくくなる欠点もありましたが、蛍光ランプは自然光に近いので、どんな色の車両に対しても視認性が良くなりました。
ただし、いまでもドライバーの視覚がトンネル内部の明るさに慣れない一部の出入口には、ナトリウムランプが使われています」
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最近では、蛍光ランプに代わり一般家庭でも普及しているLEDを採用していることが増えているといいます。前出のパナソニックの担当者は、次のように話します。
「ナトリウムランプや蛍光ランプより、さらに消費電力が少ない(白色の)LEDが世間的に普及したためだと思います。また、LEDは色の視認性が良いのも特徴です。
ナトリウムランプのオレンジ色の光は色の視認性が悪く、物体の色が正確に見えません。LED照明であれば、自然光下に近い色で見ることができます」
オレンジ色の照明下では、赤いものは黒く、青いものはグレーに見えるなど、物体の色がわかりにくくなります。
NEXCO中日本は「トンネル内に設置されている消火栓は蛍光色の赤色で塗装することにより、オレンジ色の光のなかでも赤色に見えるように工夫しています」と、オレンジ色の照明下における工夫を説明しています。
現在は物体の色が自然に見えるだけでなく、ナトリウムランプよりさらに消費電力が少なく、寿命の長いという理由から、LEDが採用されているようです。
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