「知ってますか?」意外と知らないシートベルトの着用ルールとは?

シートベルトの着用は、クルマに乗車するすべての人が守るべきルールです。2008年より全席でシートベルトの着用が義務となり、着用率は上がりましたが、シートベルトには意外と知らない細かいルールが存在するようです。

バスや駐車場内でもシートベルトは必要?

 シートベルトは日本国内において、ほぼすべてのクルマに搭載されている安全装置です。その役割は主にふたつあり、ひとつはカーブ時や急ハンドルなどで体が揺れるのを防ぐ役割、ふたつ目は事故の衝撃を和らげる役割となります。

シートベルトの着用が義務付けられている大型バスの座席のイメージ
シートベルトの着用が義務付けられている大型バスの座席のイメージ

 また、シートベルトの装着は、法律で定められた義務となっており、道路交通法第71条第3項には以下のように記載されています。

「自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。」

 シートベルトの義務化は1971年以降、運転席と助手席のみに定められていましたが、道路交通法の改正により2008年6月以降は後部座席にも着用義務が定められ、基本的に全席でシートベルトの着用が義務となりました。

 装着義務違反となった場合は、「反則金なし・違反点数1点」が課せられます。

 注意すべきなのは、一般道と高速道路で後部座席の違反に対する罰則が異なる点で、一般道では運転席と助手席のみが取り締まりの対象となり、後部座席については口頭注意を受けるのみです。

 これに対し高速道路では、全席が取り締まりの対象となるため、後部座席の装着義務違反でも1点の違反点数が加点されることになります。

 しかし、JAFと警察庁が合同で行った「シートベルト着用状況全国調査」によると、2019年11月時点におけるシートベルトの着用率は、運転席では一般道で98.8%、高速道路で99.6%とかなり高い数値となっていますが、後部座席では一般道で39.2%、高速道路で74.1%となっており、まだまだ完璧とはいえません。

 さて、ここまでは一般的な走行中の車内におけるルールですが、バスなどの公共交通機関や駐車場内ではどうでしょうか。特に、路線バスにはシートベルトが見当たらず、「同じ道路を走行しているのになぜ?」と疑問に思う人も多いでしょう。

 結論からいえば、「路線バス」については装着義務の対象外で、道路運送車両の保安基準によると、乗車定員が11名以上の自動車では、シートベルトの着用義務だけでなく設置義務さえありません。

 しかし、注意が必要なのは「高速バス」や「貸し切りバス」で、この両車にはシートベルトの設置と装着のふたつが義務付けられています。

 さらに、2016年に長野県軽井沢町で15人の犠牲者を出したスキーツアーバス事故以来、国土交通省の会議によって「安全・安心な貸し切りバス運行を実現するための総合的な対策」がとりまとめられ、車内アナウンス等でシートベルト装着の徹底が求められるようになりました。

 なお、大型バスは補助席もシートベルトの装着義務があるため、基本的には「設置されていれば装着義務がある」と考えた方が良いでしょう。

 ここまでは、シートベルトの着用ルールについて説明しましたが、道路を走行していてもシートベルトの装着が免除される場合があります。

 道路交通法施行令第26条の3の2では、一般乗用車では次のようなケースが装着義務の適用外となります。

「ケガ・障害・妊娠中などで、ベルトの着用が健康保持上適当でない場合」、「著しく座高が高い・低い、また著しく肥満しておりシートベルトが着用できない場合」、「クルマをバックさせる際の運転手」、「乗車定員内で子供などを乗せ、シートベルト数が足りない場合」、「病気などの幼児を緊急で搬送する場合」、「乳児に授乳やおむつ交換などが必要な場合」

 業務中も、着用が免除される場合があります。

 代表的なのは、配達員やゴミ収集人などが「作業などで頻繁にクルマを乗り降りする区間を運転する場合」、消防車などの緊急車両が「緊急時に運転する場合」、警察官などの公務員が「職務のために運転する場合」、要人などが「警察用自動車に護衛、または誘導されている場合」、公職選挙法の適用を受ける候補者やスタッフが「選挙運動のために使用する自動車を運転するとき」などです。

 なお、配達員やゴミ収集人などは、頻繁に乗降する「区間」のみが免除で、継続して運転する場合は装着が義務付けられています。

※ ※ ※

 警察庁によると、シートベルト非着用時の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は、着用時の約14.7倍高いそうです。この結果からも、シートベルトは命を守る命綱と言っても過言ではないでしょう。

 近年は安全意識が高まり、運転支援機能なども進化していますが、シートベルトはもっとも基本的な安全装備といえます。

 うっかり着け忘れたでは済まされないので、乗車後はまずシートベルトを着用する習慣をつけましょう。

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