誕生70年の「軽自動車」いまや定番化 新車市場を4割も占める理由とは
2019年で誕生から70年を迎える「軽自動車」。その誕生背景や現在までの道筋、そして今売れている軽自動車の動向などを紹介していきます。現在、人気の軽自動車には、どのような特徴があるのでしょうか。
2019年で70年を迎えた軽自動車
2019年で規格制定から70年を迎える「軽自動車」。近年、普通乗用車に引けを取らない性能や先進安全機能を搭載したモデルも多く登場しています。
最近の国内新車市場では、人気のミニバンやSUV、コンパクトカーなどの新型車が続々と登場するなかで、軽自動車の割合は約4割も占めるほど成長しているジャンルです。なぜ、軽自動車はここまで普及するようになったのでしょうか。
現在の軽自動車の規格は、「排気量660cc以下、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下」の三輪および四輪自動車となっています。
そもそも軽自動車の歴史は、1949年に初めて軽自動車の規格が制定されたことから始まります。規格制定当時は、「全長2.80m以下、全幅1.00m以下、全高2.0m以下」と現在の規格よりも小型なサイズとなり、四輪・三輪・二輪の区別はありませんでした。
規格制定の翌年(1950年)に、四輪・三輪・二輪の区別が定められ、三輪および四輪の軽自動車については、「長さ3m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下、排気量は300cc」までに拡大。その後も、規格改正を繰り返していきます。
現在の規格となったのは、1998年です。衝突安全基準が普通自動車・小型自動車と同一に改正され、軽自動車の安全性が飛躍的に向上します。
その後、軽自動車は急速に普及していき、自動車検査登録情報協会の調査によると、2000年に2000万台、2018年には3000万台以上と、前述のとおり軽自動車は自動車の総保有台数において約4割を占め、「通勤・通学」や「買物・送迎」といった日常にはなくてはならない存在となりました。
日本一売れている軽自動車のホンダ「N-BOX」を扱うホンダの販売店スタッフは、次のように話します。
「ひと昔前の軽自動車は、あくまでも買い物や近所の移動といったイメージが強かったほか、安全性や快適性においてもずば抜けて良いという印象を持たれているお客さまは少なかったように感じます。
しかし、近年の軽自動車は普通車並の安全・快適装備を備えているうえ、走行性能も格段に向上しました。その結果、普通車から軽自動車に乗り換えるお客さまが増えております。
N-BOXでも、同じホンダ車や他社の普通車から乗り換えされるお客さまも多くおり、なかには『昔に比べて、軽自動車の性能が良くなったから、軽自動車で良い』という人もいるほどです」
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また、全国軽自動車協会連合会の発表によると、「軽自動車ユーザーのうち女性が67%」で、女性ユーザーが多いといいます。
ユーザーの年齢層をみると60歳以上が占める割合は、2007年度でが21%だったのに対して、2017年度は34%と増加傾向にあるようです。
実際に都市部と地方でそれぞれ軽自動車を所有しているユーザーは、次のように話します。
「50代の頃までは、セダンタイプの乗用車に乗っていましたが、60歳を過ぎた頃から車幅感覚が鈍っている気がして、軽自動車に乗り換えました。税金などの維持費が安いので、いろいろとお金の面でも助かります」(都市部・70代・男性)
「いままで、主人のクルマを運転していましたが、自分の買物用に軽自動車を購入しました。遠出などは大きなクルマが良いですが、近所の込み入った場所などは軽自動車のサイズに助けられています」(地方・60代・女性)
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日本の道路は、全体の8割が道幅の平均が3.9mと、狭い道路です。そのため、運転が苦手な人や運動神経が衰え始めている高齢者には、軽自動車は最適なクルマなのです。
軽自動車は、「経済性」や「利便性」といった日本人に合った特性から、日本のクルマ市場になくてはならない存在となりました。
今後の日本は、さらなる「高齢化社会」に突入するといわれているため、維持費が安く運転がしやすい軽自動車の普及率はこれからも増えていくことが予想できます。
維持費の安さ。狭いところでも突っ込んでいける。安全装備、快適装備が普通車と大差なくなったところだと思う。