●慶應義塾大学　矢上キャンパス

・マツダ　丸本明　代表取締役社長 兼 CEO（慶應義塾大学 工学部 1980年卒業）

ーー大学時代の思い出は？

「多くの友人と出会えたこと」

ーー大学生へひとことお願いします

「出会いを大切に」

　慶應義塾大学 工学部（現：理工学部）は丸本社長の母校であり出身学部です。それもあってか、終始、打ち解けた雰囲気で授業がおこなわれました。

　お話の内容は「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を踏まえたマツダの技術開発の考え方がメインで、自動車産業とマツダという企業をしっかり学べる、まさに「授業」という名前にふさわしい展開でした。

　学生からはマツダの経営状態についての質問や、ロータリーエンジン復活の要望など、ユニークな質問が相次ぎ、丸本社長は「経営をしっかりさせれば、ロータリーエンジンの復活はできると思っています」と回答。

　逆に学生に対して「いくらなら買ってくれますか？」などと問い返すシーンもあり、会場が沸いていました。

　この出張授業でマツダが用意した展示車両は発表されて間もない「CX-30」と、「マツダ3」「ロードスターRF」の3台。

　学生たちはキャンパスの中庭に展示されたクルマに乗り込んだり、写真を撮ったり、マツダ車について熱心にマニアックな質問をする学生の姿もみられました。

　展示車両の周囲には車両知識の豊富なスタッフが配置され、学生からの質問に丁寧に、詳細に答えていたのが印象的でした。

●早稲田大学　早稲田キャンパス

・ホンダ（本田技研工業）　神子柴寿昭　取締役会長（早稲田大学教育学部1980年卒）

ーー大学時代の思い出は？

「卒業後40年となる現在も、会えば時間を超えて、まるで学生時代のように語り合える生涯の友を得たこと」

ーー大学生へひとことお願いします

「自らに限界を作らず、可能性は無限であると信じ、何事にも全力で取り組んでください」

　早稲田キャンパスで開催されたホンダ神子柴会長の授業は、早稲田大学自動車・部品産業研究所との共催ということもあり、独自の構成で開催されました。

　展示車両も若者に人気の「N-BOX」から、スーパーカーの「NSX」、F1マシンが2台登場するなど、かなりゴージャスなラインナップでした。

　早稲田大学卒の若手社員が、学生のキャリアに関する悩み相談に応じるOB/OG懇談会も、講演の前に設けられており、こちらも学生たちには非常に好評だったとのことです。

　神子柴会長の話は、ホンダのチャレンジングな企業風土のもと、アメリカで強い信念をもって自分の可能性に挑戦した体験や、そこで学んだ仕事の流儀などユニークなエピソードを交えて語っていました。

　授業後の質疑応答は、マスコミ関係者が入らない形での実施となりました。「学生とのダイレクトな対話をすることを最優先にしたい」ということが理由です。真摯に学生たちと向き合って語ろうとされる姿勢に、筆者は静かな感動を覚えました。

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　2019年度の大学キャンパス出張授業は2020年1月8日に東京都市大学で開催予定の日野自動車　遠藤真　取締役・副社長の授業でいったん終了となりますが、2020年の秋には2020年度の授業が開催されるのではないかと思われますので、自動車産業に興味がある学生の皆さんは聴講されてみてはいかがでしょうか。