【一足早くホンダ新型「フィット」試乗!】4代目は大幅進化で「カタログ燃費=実燃費」の自信も

新型モデルは「フィットなのにフィットじゃない!?」

 また、新型のプラットフォームは現行モデルを踏襲していますが、ボディはサスペンション保持部を中心に補強、加えてアルミ製リアダンパーマウントの、低フリクションサスペンション、VGR(バリアブルギアレシオシステム)の採用などがおこなわれています。

 エンジニアに聞くと「現行モデルで使っているプラットフォームの基本素性は高いものの、すべてを使いこなせていませんでした。そこで刷新よりも熟成の道を選びました」と語っています。

洗練された新型「フィット」の内装デザイン
洗練された新型「フィット」の内装デザイン

 実際に乗ると、「フィットなのにフィットじゃない!?」と思ってしまうくらい“大人”な仕上がりです。ハンドリングはシャープというよりマイルドで穏やかな特性ですが、操作に対して忠実かつ自然に反応します。

 コーナリング時のクルマの一連の動きにも連続性があり、一体感は現行モデルよりも高い所にあります。ワインディングを模したコースではハイペースでも安心して走らせることができました。

 それでいながら高速走行の直進性も全高の高い5ナンバーのコンパクトハッチとしては非常に優秀なうえに快適性も高く、凹凸の吸収の仕方や、アタリの優しさなどは現行モデルより1ランク上に感じました。

 つまり、見せかけのスポーティではなく、最初から専用のカスタマイズパーツを装着して販売されるコンプリートカーブランドの「Modulo X」と呼びたいくらい全方位で質の高い走りに仕上がっています。

 これはボディ剛性とサスペンションのバランスの良さに加えて、上級セダンへの採用も見据えて開発された「ボディスタビライジングシート」の効果も大きいでしょう。

 面で支えるMAT構造と高密度クッションの採用で、柔らかなかけ心地とフィット感を両立させています。また、現行モデルでウィークポイントのひとつだったリアシートも、厚みのあるパッドの採用により、長時間乗ってもお尻が痛くなることはありません。

 ただ、ここまで走りがレベルアップしていると、よりスポーツ性を高めたグレードが欲しくなります。

 2019年12月上旬にタイでお披露目されたホンダのコンパクトセダン新型「シティ(日本名:グレイス)」には1リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンを搭載した「RS」が設定されていますが、そのフィット版があってもいいと思います。

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【画像】 新型フィットは何が変わった?(40枚)

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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