ミニバンブーム火付役ホンダ「オデッセイ」 ミニバン人気続くもなぜ販売低迷?

ホンダ「オデッセイ」は、いまのミニバン市場をけん引してきたモデルです。しかし、現行モデルとなる5代目はかつてほどの勢いはありません。なぜ人気ミニバンだったオデッセイの販売が低迷してしまったのでしょうか。

マイルドヤンキーも憧れた「オデッセイ」ってどんなクルマ?

 いまでは定番ジャンルとなっているミニバン。その火付け役ともいえるのが、ホンダ「オデッセイ」です。現行モデルは、5代目となりますが初代や2代目ほどの勢いはありません。

 かつて幅広いユーザーに支持されたオデッセイに、何があったのでしょうか。

やんちゃなマイルドヤンキーの憧れでもあった3代目「オデッセイ」
やんちゃなマイルドヤンキーの憧れでもあった3代目「オデッセイ」

 1994年に発売された初代「オデッセイ」は、同社「アコード」のプラットフォームをベースに開発。当時は、低重心のスタイルで乗降しやすく、スライドドアを持たないヒンジ式だったことからセダンユーザーなどから支持された結果、翌1995年には12万5560台を販売し、登録車販売台数ランキングで4位になるほどの人気を博しました。

 1996年には同じホンダのミニバンとして、「ステップワゴン」が登場。販売台数では、ステップワゴンがオデッセイよりも多くなります。

 その結果、オデッセイは1999年の年間販売台数が4万8211台まで落ち込みます。しかし、同年12月(一部仕様は、2000年1月発売)に2代目オデッセイへフルモデルチェンジ。

 2000年の年間販売台数は、初代モデルと同様に12万391台の4位を記録して、再び人気モデルになります。2代目モデルは約3年という短いモデルライフとなり、2003年には3代目モデルが登場しました。 

 これは、トヨタ「エスティマ」、「ノア/ヴォクシー」、「イプサム」、ホンダの「モビリオ」「ストリーム」など、ミニバン市場に続々とライバル車が投入されて、ユーザーが分散化したことでオデッセイの魅力が薄まったことが要因とされます。

 3代目オデッセイは、細長いヘッドライトになりスタイリッシュなデザインになったほか、ミニバンのなかでは低めだった全高をさらに引き下げ1550mmとし、機械式立体駐車場にも入庫可能なクルマとして登場しました。

 さらに、スポーティなデザインやミニバンらしからぬ高い運動性能が若者に受け入れられ、歴代モデルと同様にヒットしますが、一部ユーザーからは車高の低さに対し不満の声が上がったのです。

 その後、2008年に発売された4代目オデッセイも、3代目と同様のコンセプトで登場しましたが、ハイルーフタイプのミニバンの人気が高まってきたことや、先代と比べて新鮮味に欠けるデザインだったことから、オデッセイは徐々に人気が低迷していきました。

 2013年11月に登場した5代目オデッセイでは、1994年の初登場から採用していたヒンジ式のドアを廃止し、後席ドアをスライドドア式に変更。さらに、機械式駐車場に入庫可能な全高に見切りをつけたのです。

 しかし、翌2014年以降の年間販売台数は、2016年の3万858台をピークに、2018年は1万6670台とかつての勢いはありません。

 歴代オデッセイを販売してきたホンダの販売店スタッフは、次のように話します。

「2000年代半ばまでは、ホンダの普通乗用車でも主力ラインナップでした。当時は、30代のファミリー層のお客さまが多く、とくに3代目オデッセイは少しやんちゃなお客さまが購入されていた記憶もあります。

 しかし、最近では、コンパクトミニバンの『フリード』とステップワゴンが弊社の主力ミニバンとなっているほか、コンパクトカーの『フィット』やコンパクトSUV『ヴェゼル』を求めるお客さまも増えていることから、オデッセイの影が薄いのは事実かもしれません」

※ ※ ※

 また、最近のホンダは軽自動車「N-BOX」の2代目モデルが2017年に登場してから販売好調となり、N-BOXを求めに販売店に訪れるユーザーも多いといいます。

 かつて、ミニバン市場にけん引し、幅広いユーザーから支持されたオデッセイですが、近年の多様化かつ細分化するニーズには、ハマっていないのかもしれません。

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