なぜローマ教皇は「マツダ3」を選んだ? カタログに無いモデルを選択した訳とは
2019年11月23日にローマ教皇が、1981年の第264代教皇ヨハネ・パウロ2世以来、38年ぶり2度目となる来日をされました。その際、広島の移動時にはマツダ「マツダ3」に乗られていましたが、じつは通常のカタログには無いモデルだったのです。なぜ、ローマ教皇はそのモデルを選んだのでしょうか。
特別なマツダ3をローマ教皇が選んだワケとは
約13億人の信者がいるローマ・カトリック教会のトップ、フランシスコ教皇が2019年11月23日に来日。ローマ教皇の来日は、1981年の第264代教皇ヨハネ・パウロ2世以来、38年ぶり2度目となります。
そんななか、広島に訪れた際に、マツダの新型「マツダ3(セダン)」に乗られていましたが、じつは通常のカタログには載っていないモデルでした。どんなクルマだったのでしょうか。
翌24日は被爆地の長崎を訪れ、核廃絶に向けたメッセージを発表しましたが、長崎県営球場でのミサで乗っていたのはトヨタの「MIRAI」がベースのオープンカー「パパモビーレ」です。
このモデルはいわば教皇の業務車であり、環境問題を重視する教皇の意向で製作されたそうです。
その後、長崎から広島へ飛行機で移動した教皇は、平和記念公園でおこなわれる「平和のための集い」に参加されましたが、その際の移動車はマツダ「マツダ3(セダン)」でした。
恐らく、「広島繋がり」で選ばれたのは間違いありませんが、なぜフラッグシップの「マツダ6」や、より広いクロスオーバーの「CX-8」ではなくマツダ3だったのでしょうか。
庶民派として知られる教皇は、移動時には小さなモデルを要望されることが多いそうです。バチカン市国の移動はフォード「フォーカス」を使用。
2014年に韓国を訪れた際に乗ったクルマは、KIAのコンパクトハッチバック「SOUL」でした。そんな経緯もあり、ボディサイズと居住性とのバランスからマツダ3が選択されたのでしょう。
ただ、通常のカタログモデルにはない特別なモデルがベースとなっています。
マツダ3のセダンタイプのなかでも、もっともベーシックなグレードは、2リッターガソリンエンジンを搭載する「20Sプロアクティブ」の251万5741円です。
しかし、法人やレンタカー向けの「15C」というグレードが存在します。装備の簡略化(ステアリングが革巻き→ウレタン、ホイールがアルミ→スチールなど)だけでなく、セダン唯一となる1.5リッターのガソリンエンジンを搭載したモデルで価格は200万円を切るそうです。
マツダの関係者によると、「質素を良しとする」ことで知られる教皇の御意向からこのグレードが選択されたといいます。
ボディカラーは、ディープクリスタルブルーマイカで通常の15Cと異なるのは、左フロントに装着された旗用のポールと上級モデルと同じ215/45R18タイヤ+18インチアルミホイールを装着していることです。
これは、一般向けではない15Cであることのカモフラージュに加えて、「映え」も気にしたのではないでしょうか。
ちなみにナンバープレート「SCV 1」はローマ教皇専用車を表しています。
マツダ3の開発主査・別府耕太氏は「非常に光栄なことです。これをキッカケに『マツダ3』に興味を持っていただけると嬉しいですね」と語ってくれました。
もしかしたら、これをキッカケに特別限定車「15 ROMA」が登場する可能性もあるかもしれませんね。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
単なる広島繋がりではなく広島もヒロシマも見ておられるのでしょうね。
お好み焼きより広島駅から乗ったタクシーがルーチェだったりカベラだったりするのが広島風景だったりしますからね。