語り継がれるべきエンジンとは!? 名機と呼ばれたエンジン5選

30年の歴史に幕を下ろすスバルの名機

●ホンダ「F20C型」

市販エンジンの域を超えた「F20C型」
市販エンジンの域を超えた「F20C型」

 ホンダは自動車製造が始まっていないころから、レースを戦いながら、その技術を市販向けにフィードバックしてきました。

 1980年代から1990年代にかけてF1にエンジンを供給してきたことや、「VTEC」に代表される高回転・高出力なエンジンを多数生み出してきたこともあり、「ホンダ=エンジン屋」というイメージが定着します。

 ホンダが誇る数々の高性能エンジンのなかでも集大成ともいえるのが「F20C型」で、このエンジンを搭載したのが1999年に発売されたオープンFRスポーツの「S2000」です。

 S2000は1970年に生産終了した「S800」以来となるホンダのFR車で、すべてが新たに設計されるなど、ホンダ創立50周年を祝うメモリアルカーという意味合いもありました。

 F20C型2リッター直列4気筒エンジンは自然吸気でありながら250馬力を発揮し、レッドゾーンは9000rpmと、市販車のエンジンとしては驚異的な高回転・高出力なものとなっていました。

 これほどまでの高回転・高出力エンジンは、ひと昔前のレーシングカー並で、それを市販車に搭載するということは最低でも10万km走行を保証する必要があり、高い技術力が要求されます。

 エンジンは途中から2.2リッターに排気量がアップされたF22C型となり、F20C型ほどの高回転エンジンではなくなりましたが、それでも十分にパワフルでそのうえ扱いやすくなり、国内外のファンから愛されました。

 S2000は発売から10年後の2009年にフルモデルチェンジすることなく生産を終了し、F22C型も同時に生産を終えます。

●スバル「EJ20型」

30年の歴史に終止符を打つ「EJ20型」
30年の歴史に終止符を打つ「EJ20型」

 2019年9月25日、スバルは主力エンジンである「EJ20型」2リッター水平対向4気筒の生産を2019年度中に終了すると発表しました。

 EJ20型エンジンは、1989年に登場した初代「レガシィ」に搭載されて以来、約30年に渡ってさまざまな車種に採用され、WRCやニュルブルクリンク24時間レースをはじめとするモータースポーツでの活躍にも大きく貢献しました。

 初代レガシィRSのEJ20型ターボは220馬力を発揮し、レガシィは高性能セダン/ステーションワゴンのポジションを確立します。

 そして、三菱ランサーエボリューションと同様にWRC制覇を目的としたインプレッサWRXが1992年に発売され、EJ20型も一気に進化します。

 当初240馬力だったエンジンは1996年には280馬力に到達。さらに2002年に発売されたSTIのコンプリートカー「S202 STi Version」では320馬力を発揮しました。

 その後、2014年にインプレッサWRXは「WRX」という車名で独立し、高性能版の「WRX STI」では308馬力が標準となり、2017年に450台限定で発売された「S208」ではEJ20型で最高となる329馬力までチューニングされました。

 このS208のエンジンは、回転機構の主要パーツの重量をひとつひとつ精査して組み上げた「EJ20バランスドBOXER」と呼ばれ、出力だけでなく回転フィーリングにもこだわっていました。

 そして、前述のとおりEJ20型の生産終了がアナウンスされ、その最後を飾る「WRX STI EJ20 Final Edition」が555台で限定販売されます。

 このEJ20 Final EditionにはS208と同様なEJ20バランスドBOXERが搭載され、EJ20型の30年にわたる歴史が終了します。

※ ※ ※

 EJ20型は30年にわたって生産され、長寿のように思えますが、じつはエンジンの場合は珍しくありません。

 新型エンジンの製造では莫大な設備投資がおこなわれるため、長い期間製造する必要があるためです。

 たとえば、日産のL型がRB型に変わって完全に新型になりましたが、実際はL型用の製造設備の多くがそのまま使えるように設計されていました。

 つまり、単に性能面だけを追求するのではなく、陳腐化せずに長く使えるエンジンの設計が要求されるということです。

【画像】組み立て前から美しい…!パーツ状態のホンダ「F20C型」エンジン

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Writer: くるまのニュース編集部

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