SUV過多でも新型ロッキー&ライズはなぜ登場? 両車の販売戦略の違いとは

新型ライズとC-HRでユーザーの取り合いにはならない?

 ダイハツとしては悲願ともいえる本格SUVですが、トヨタにとって5ナンバーサイズのコンパクトSUVは、同社のラインナップを補完する形となりました。

 2019年4月にRAV4が復活した際には、「C-HRとの競合はない」としていましたが、今回のライズの場合はどうなのでしょうか。商品企画担当者は次のように説明しています。

「C-HRはトレッドを広く確保して、オンロードでの走行性能をしっかりと確保したモデルだと思っています。ライズは良品廉価、つまりサイズのわりには実用的に使える車内空間を持ち、しかもリーズナブルな価格設定を目指しました。そういう意味では、安くていいクルマを求める、トヨタには新規の顧客層にアピールできるモデルだと思っています」

数多くのSUVラインナップを持つトヨタに5ナンバーサイズのSUV「ライズ」が加わる
数多くのSUVラインナップを持つトヨタに5ナンバーサイズのSUV「ライズ」が加わる

 実車を見るとよく作り込まれているにも関わらず、廉価グレードが170万円を切る価格なのは、リーズナブルだといえます。

 ライズの国内市場でのポジショニングは、初代RAV4が登場したときに近いのではないでしょうか。安い価格もさることながら、十分な室内空間や快適性、考え抜かれた機能性、そしてインターフェイスのデザインを見ると、これまでSUVを新車で買えなかったユーザー層が、飛びつく可能性を秘めたクルマだと感じます。

 事実、トヨタによれば2019年11月5日までにライズの先行予約は6500台(月販目標台数4100台)にも上るといいます。

 今回、トヨタとダイハツどちらのディーラーでも写真の事前公開を一切伏せていたにも関わらず、多くのユーザーがデザインも見ないでこの新型SUVに飛びついたというのは驚きです。

 ちなみに一部グレードでオフロード性能を高め、イメージもオフロードに振っているRAV4に対して、ロッキーとライズはあくまでも「日常に溶け込む形」「汎用性の高さ」を追求しています。

 4WDシステムは、走行シーンによって100対00から50対50に前後駆動トルクを自動配分する、電子制御カップリングをセンターデフに使用。

 滑りやすいコーナーなどでの挙動を安定させる「VSC」以外のデバイスを、オフロード走行で介入させることはないとのことです。しかし、キャンプ場などちょっとした未舗装の地形でも十分に走行できるのではないでしょうか。

 肩肘張らずに、日常で普段使いできるSUV、ロッキーとライズ。この2台の登場によって、スズキ「SX4 S-CROSS」やスバル「XV」、日産「ジューク」には少なからず影響するでしょう。2台が市場でどのような評価を受けるのか、今後が楽しみです。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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1件のコメント

  1. 火星探査で使う車。力があり初速抜群。若者向きですが、この世代はあまり車に興味が無いようですからどうでしょう。
    デザイン、カラーリング、内装全部イマイチ。特にトヨタのカタログ内容は手を抜いた感じがしました。
    ネガティブコメントで申し訳ありませんが試乗した個人的な感想です。

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