なぜ新型「ヤリス」が1000万円? 交通社会を管理するシンガポールの新車購入制度とは

日本では大体150万から250万円ほどで購入できるコンパクトカーがシンガポールでは1000万円近くになるといいます。なぜそんなにも高額な価格帯に跳ね上がってしまうのでしょうか。

コンパクトカーのヤリスが1000万円になる理由とは

 2019年10月に日本で発表されたトヨタの新型「ヤリス」。発売は2020年2月なので、現時点では価格は未発表ですが、トヨタはヴィッツと同等レベルを維持する考えだといっていることから、150万円から250万円ほどになると予想できます。

 そんな新型ヤリスがシンガポールに渡ると1000万円を超える車両価格になる可能性があるといいます。なぜ、200万円前後のクルマが1000万円を超えるのでしょうか。

激化するコンパクトカー市場で、2019年10月にヴィッツからヤリスに車名変更
激化するコンパクトカー市場で、2019年10月にヴィッツからヤリスに車名変更

 正確にいえば、価格が高いのではなく、購入するために必要な金額が物凄く高く、日本やアメリカ、欧州、さらにはシンガポール近隣の東南アジアと比べても、ざっと4倍から5倍も高いのです。

 そういわれると「税金が高いんでしょ」と考える人が多いと思いますが、確かに輸入税や所得税など、各種税金や手数料が新車価格と同じくらいの金額によりますが、問題はさらにその先にあります。

 それは、クルマを購入するための権利を買わないといけないということです。これをCOE(サティフィケート・オブ・エンタイトルメント)といい、実施しているのは、シンガポール政府の陸運庁です。

 驚きなのは、COEの購入方法がネット上でのビット(競争入札)であることで、日本人にとっては、不良債権化した不動産を買うようなイメージかもしれません。

 COEの対象車は乗用車・商用車などで4部門あり、乗用車の場合は排気量1.6リッター以下・または最大出力130馬力以下のカテゴリーAと、それ以上のカテゴリーBに区分されています。

 COEのビットは通常、毎月1日(1日2回)おこなわれ、最近ではカテゴリーAとBでは約1000枚のCOEが発行され、競争入札に参加する人は発行枚数の1.5倍から2倍程度です。

 倍率が低いのは、最低入札価格がかなり高いと予測している人が多いので、最初から入札に参加しないのです。

 入札された価格を見ると、月によって大きな差があることが分かります。直近の10月19日実施分ではカテゴリーAが3万4000シンガポールドル(約270万円)です。これが直近6か月間で、最低2万7000シンガポールドル(約216万円)から最高3万7000シンガポールドル(約300万円)まで大きく上下しています。

 そのため、車体価格が250万円ほどの上級グレードのヤリスを購入するには、新車価格と同じほどの各種税金や手数料に加えて、COEの入札価格(最高値の300万円と仮定)も上乗せされると800万円ほどに。場合によっては1000万円近くになる可能性もあるのです。

 それにしても、なぜシンガポールはCOEという世界では珍しいクルマ購入方式をとっているのでしょうか。

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