SUVのトレンドが変化? SUVナンバー1だった日産「エクストレイル」が苦戦する理由とは
3代目で大きく方向転換したエクストレイル
初代エクストレイルは、2000年に発売されました。ライバルだったRAV4やCR-Vに比べて、オフロード色を前面に押し出した異色のライトクロカン4WDとして登場しています。
200万円台というリーズナブルな価格で販売され、さらに荒野や雪山を疾走するエクストレイルとエクストリームスポーツのイメージCMも人気となり、キャンプ場やスキー場などでは多くのエクストレイルであふれかえったほどです。
2007年に2代目にフルモデルチェンジすると、ヘビーデューティなイメージはさらに強くなり、4WDシステムにブレーキLSDトラクションコントロールを付加した「オールモード4×4i」を採用。さらに、ルーフレール内に前照灯をおさめた「ハイパールーフレール」といった斬新なシステムも設定されるなど、初代よりもさらに人気を博しました。
初代、2代目は比較的コンパクトだったエクストレイルですが、3代目となる現行モデルではそれまでのイメージを一新。ルノーと共同で開発したプラットフォーム「CMF」を採用し、ボディサイズを拡大しました。
イメージも北米市場を意識して高級感があり、かつ都会的なスタイルに転換。それまでのタフギアなイメージが薄れたことで、3代目の発売当時は、初代、2代目のファンから落胆の声が聞かれたものです。
賛否両論があった3代目エクストレイルですが、当時は同じデュアリスが人気だったこともあり、その上をいくサイズのSUVとして販売台数を伸ばしました。
また、フォルムこそオンロードイメージになってしまいましたが、「オールモード4×4i」や「アクティブブライドコントロール」などオフロードを意識した装備を採用していることから、アウトドア派から支持を得ました。
さらに、安全装備を一気に進化させたことから、それまでSUVに興味のなかった層の取り込みに成功したといえます。
※ ※ ※
エクストレイルが分類されるミドルサイズSUVは、前述の通り、RAV4、CR-V、CX-5、フォレスター、さらにトヨタ「ハリアー」、三菱「アウトランダー」などが群雄割拠する激戦地帯です。
最近では、RAV4に加えてCR-Vが新型モデルとして国内市場に復活し、フォレスターはフルモデルチェンジをおこなっています。
一方、エクストレイルといえば、2019年1月に「エクストレイルAUTECH」を追加した程度に留まっています。
ただし、エクストレイルも2020年から2021年にかけて、フルモデルチェンジするのではないかという噂があります。
1.5リッター e-POWERや三菱「アウトランダー」と同じPHEVを搭載するのではないかとか、コンセプトカー「クロスモーション」をベースにしたデザインになるのではないかなど、予想されています。
エクストレイル改めて見ると、クルマとしての魅力はまだまだ褪せていません。
次期モデルは現行モデルのDNAを色濃く残すのか、もしくは現在北米で人気の分厚いマスクに大変貌するのか、日産を支える基幹モデルであるだけに期待が寄せられます。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
技術の日産と言われていたのは遠い昔の話。今でもそれを言い続けているのが間違いの基。
もっと世の中を見て行かないとますます置いて行かれる。
技術の日産と言われていたのは遠い昔の話。今でもそれを言い続けているのが間違いの基。
もっと世の中を見て行かないとますます置いて行かれる。