50年以上愛されるスズキ「ジムニー」 伝統と進化のバランスが人気の理由だった?

平成、令和へと伝統を受け継ぐジムニー

 軽自動車規格の改正によって、1998年フルモデルチェンジをした3代目ジムニーが発売されました。

 3代目ジムニー(JB23型)は、これまでの箱形のデザインから、丸みを持ったデザインへと大きく変更され、モデルも5ナンバーワゴンのみとなり、幌やバンモデルは廃止されました。

 初代ジムニーから続く、基本骨格のラダーフレームと前後リジッドアクスルサスペンションは守りつつも、新たに「軽量衝撃吸収ボディー」を開発し、高い安全性も追求しています。

 また、室内が拡大されたことにより、居住性が高まり、オフロードだけではなくオンロード性能も向上したのです。

 JB23型は、1998年の発売から2018年の生産終了まで、約20年という長い歴史を持ったモデルでした。その間には多数のマイナーチェンジや一部改良がおこなわれ、伝統を守りつつも進化は怠っていませんでした。

 そして、2018年7月に現行モデルの4代目ジムニー(JB64型)が発売されました。デザインは3代目の丸みのあるデザインとは異なり、初代、2代目を思わせる箱形のデザインとなっています。

20年ぶりのフルモデルチェンジを遂げた現行型ジムニー
20年ぶりのフルモデルチェンジを遂げた現行型ジムニー

 4代目ジムニーは、歴代モデルのデザインが採用されており、初代、2代目からは「丸型のヘッドランプ」、初代から「丸型の独立配置されたウィンカー」、3代目からは「5スロットグリル」が採り入れられています。

 内外装ともに「機能に徹した飾らない潔さ」というコンセプトでデザインを刷新し、外装は車両状況が把握しやすい角ばったスクエアボディを採用しています。

 また、厚手の手袋を着用しても操作が可能なスイッチ類を採用することで、どんな状況でも運転に支障をきたさない機能的なレイアウトを実現。

 ジムニーの特徴でもある「悪路走破性」を高めるため、新開発ラダーフレームの採用や伝統的な縦置きエンジンFRレイアウト、リジッドサスペンションの改良により荒地や障害物などでの走行性能を格段に向上させているほか、「ブレーキLSDトラクションコントロール」や「ヒルホールドコントロール」などの機能でもドライバーをサポートします。

 カラー設定について、スズキのデザイン担当者は次のように説明しています。

「今回のボディカラーは『機能を表現する色・素材』を狙いとしています。『キネティックイエロー』は、悪天候のなかでも目立つ性能を追求した要素を重要視しました。

『ジャングルグリーン(ジムニーシエラ)』は、森のなかなどで隠れる性能を追求しています。この2色に決定した背景には、実際に仕事使われている方や森林組合などへの調査結果で判明しました」

 4代目ジムニーは、スズキでは初となる2018年度グッドデザイン賞金賞を受賞したほか、日本車では初となる世界カーオブザイヤー「ワールドアーバンカー」を2019年に受賞するなど、さまざまな分野で評価を得ているクルマです。

 ジムニーがいまでも愛される理由として、50年以上の歴史と伝統を守りつつ進化し続けていくという、バランス感覚がその秘訣かもしれません。

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