ランクルやジムニーは災害に強い? ゲリラ豪雨や台風時の対処方法とは

優れた性能を持っていても、正しい知識がないと危険な場合も

 オフロード4WDは、前述のように、災害にも対応できる性能を備えています。しかし、いろいろな知識を知らずに運転すると、危険な場合も存在します。

 例えば、路面が乾燥している場合の4WD走行は注意が必要です。直結状態の4WDは、摩擦係数の大きな乾燥路では「タイトコーナーブレーキング現象」を起こします。

 この現象は、前後輪の回転差を吸収できなくなるために発生するもので、車両の挙動がギクシャクして、最悪転倒する恐れがあるのです。

 また、オフロード4WDは風を受ける投影面積が大きいため、強風のときは転倒する恐れがあります。車重が2トンを超える車種でも、突発的な横風には弱いので、十分に減速して走行しましょう。

 とくに、台風接近などで強風だからといって、乾燥路で直結状態の4WDにするとフラついた瞬間に転倒するケースもあるので、こういう場合はフルタイム4WD以外は使えないと覚えておきましょう。

 水溜まりのなかを走るときも、十分に注意が必要です。とくに水かさが多い場合は、オフロード4WDといっても浮いてしまう場合があります。

 一度浮いてしまうと、タイヤが接地するまで操舵が効きません。スペック上で十分な渡渉能力を持っていても、タイヤ半分までの水位が走行可能の目安です。

多少の浸水箇所でも気にならないメルセデス・ベンツ「Gクラス」
多少の浸水箇所でも気にならないメルセデス・ベンツ「Gクラス」

 また、エンジン内に水を吸ってしまうと「ウォーターハンマー現象」を起こし、最悪の場合はエンジンが大きな破裂を起こします。また、水のなかを走ると想像以上に水面が上がり、予期せずに水没することもあるので無理は禁物です。

 もし、やむえず渡渉をする場合は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンとも、スロットルを開けたままゆっくりと進むこと。エンジンブロックが水に浸かった状態でエンジンを停止させると、エンジン内に水を吸ってしまう恐れがあります。

 土砂崩れに遭遇した場合は、よほどのことがない限り、迂回するのが鉄則です。多少、キャンバー(斜面地形)を走った経験があっても、雨で崩れた土は非常に軟らかく、車重が重いオフロード4WDで走るとズルズルと崩れてしまいます。

 このとき、ハンドルを山側に切っていると、簡単に谷側に転倒します。そのままゴロゴロと斜面を転がっていった場合、重大に事故になることも。走る場合は、地質などを見極められる目と経験値が必要なのです。

 オフロード4WDは、優れた走破性能を持っていますが、万能車ではありません。ましてや、自然災害のなかには予想もしないアクシデントが潜んでいることもありえます。

 すぐにも命の危険が迫っている場合は別ですが、知識がないまま闇雲に走ろうとすると、かえって危険に身をさらすことになるので注意しましょう。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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1件のコメント

  1. ジムニーやバイクなら、まだ可能性は、あると思うがランクルは、環境が揃わないと使えない大きなゴミ

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