東京都が9割も負担? 多発するペダル踏み間違い防止装置は今後普及するのか
自動車メーカーの対応はどうなる?
こうした動きに対してホンダは2019年7月3日、一部メディア向けに行った先進技術説明会では「弊社でも開発と販売に向けて準備を急いでいます」(本田技術研究所・役員)と発言しています。
その2日後の7月5日には、国土交通省が国内の自動車メーカー大手8社に対して、後付けの「アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置」の開発計画を8月上旬までに提出するよう求めました。国は同装置に関する性能認定制度をできるだけ早く設置する意向です。
つまり、現時点では、たとえ東京都などが費用の補助をおこなっていても、国による性能認定制度がなく、同装置の購入については購入者の自己責任が大きいという状況なのです。
では、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)についても今後、後付けキットが発売され、性能認定制度が生まれることになるのでしょうか。
この点について、自動車メーカー各社の先進安全技術部門の開発者達は、「事実上、不可能です」との回答がほとんどです。
理由については、ブレーキシステムは発売時期によって大きく違い、それらすべてに対応することが技術的に難しいこと。また、ブレーキ部品や車体の経年劣化によってブレーキ性能に差が生じることがあるため、と説明します。
その上で、後付けの「アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置」については、「以前採用していたワイヤー式アクセルの場合は燃料をカットするなどして対応可能」(前出の本田技術研究所役員)として、幅広い既存車向けの商品の開発を明言しています。
高齢ドライバーの事故によって一気に注目が集まる、後付けの各種安全装置。現時点では、普及前の創成期なのです。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
踏み間違え防止装置ではなく 踏み間違え加速抑制装置ですよ。 全く違うものですから、間違えないように