過不足ないパワー／トルクがちょうどいい「B180」

　今回試乗した「B180」に搭載されているM282は、直列4気筒を横置きした1.4リッターターボで136馬力のパワーと200Nmのトルクを発揮します。これに組み合わせれるのは7G-DCT（７速デュアルクラッチトランスミッション）です。多板クラッチが湿式のおかげか、ギクシャク感がなく市街地でもスムーズに走れます。

　1440kgの車重に対して、1460rpmという低回転から200Nmの最大トルクが出せるので、走りに不満はありません。逆にこの程度のトルクとパワーなので、前輪駆動にもかかわらずアクセルペダルを深く踏み込んでもじゃじゃ馬に変身することもなく扱いやすかったです。

　これはメルセデス・ベンツらしく、アクセルペダルのゲイン（踏み込みに対しての反応量）をあえて高くしていないからできているのでしょう。ドライブモードをダイナミックに合わせると、アクセルペダルのゲインはややシャープになり、シフトプログラムが低いギアを選ぶ分だけ元気よく走るようになります。

　ただしAクラス、Bクラスのアクセルペダルは吊り下げ式で、Cクラス以上に採用しているオルガンタイプとは異なり、メルセデス・ベンツとしての統一感がないのは残念なところです。個人的にはオルガンタイプの方が扱いやすいと思います。

　新型Bクラスはやや背の高いモデルなのですが、その高さのおかげで乗員の乗り降りがとてもしやすいです。ドライビングポジションもアップライトな体勢で座れ、骨盤が起きているぶん、長距離ドライブでも腰が痛くなりにくそうです。後席もヘッドクリアランスがたっぷりあり、広い空間でくつろげます。
　
　最新の安全技術を味わえるのは「インテリジェントドライブ」です。BクラスでもSクラスと同等のADASを設定しているので、ぜひオプションの「レーザーセーフティパッケージ」（消費税8％込24万5000円）を装着したいです。

　緊急時の対応もしてくれるのですが、周囲の交通状況を常に監視しているところがポイントです。その機能のひとつが「アクティブレーンチェンジアシスト」です。

　高速道路で80km／hのスピードが出ている場合だけですが、ウインカーを2秒間出すと、あとはクルマが後方、側方のクルマがいないか確認してから自動的に車線変更してくれるというもの。これはウルトラスムーズではなくテキパキした車線変更という感じの移動でした。

　ほかにも「渋滞時緊急ブレーキ機能」「アクティブエマージェンシーストップアシスト」「アクティブブレーキアシスト」「緊急回避補助システム」「トラフィックサインアシスト」「アクティブレーンキーピングアシスト」「アクティブブラインドスポットアシスト」「PRE-SAFEプラス（後方衝突対応）」などがセットされます。

高速道路走行ではよく継ぎ目の段差がありますが、80km／h付近で走行していると、そこでやや硬さを感じる振動が伝わってきました。車高が高いのであまりソフトにはできないという事情もあるかもしれませんが、ややスポーティな乗り味に感じられるときがありました。
　
　別のいい方をすると、ランフラットタイヤ（RFT）でないのにRFTのような硬さを感じさせることがあったということです。基本的にはプラットフォームが高い剛性を持っているので、走行中の振動も伝わってきにくく悪くはないのですが。ちなみに試乗したクルマのタイヤはピレリチンチュラートP7の205／55R17 91Wで、指定空気圧は前260／後230kPaでした。
　
プラットフォームの剛性の高さは、ハンドル応答性の良さに出ていました。メルセデス・ベンツのモデルらしく過度なシャープさはなく、舵角に比例した運転しやすい反応でした。これがそのままコーナリングになっても、通常走行ではフロント側が逃げる感じにならず、正確なライントレースができて扱いやすいのが良かったです。

若いファミリーからお孫さんを乗せたい高齢者まで幅広いターゲットに合いそうなクルマという印象でした。