運転手付き高級車 「センチュリー」を超える? 世界最高峰のショーファーカーとは
著名人などVIPの移動にクルマは欠かせません。しかしVIPを車内に迎えるにあたって、「普通の」クルマでは失礼。そこで、VIPの安全かつ快適な移動を目的として開発・設計されているのが「ショーファードリブンカー」といわれるクルマです。今回は世界のショーファードリブンカーを3機種、紹介します。
主人は運転しない、それがショーファードリブンカー
スーパーカー顔負けの高い走行性能と豪華絢爛のエクステリアおよびインテリア。運転は専門のドライバーに任せ、主は後部座席でくつろぐ。ショーファードリブンカーに共通する特徴です。
そんなショーファードリブンカーの一番わかりやすい例なのが、米国大統領専用車「キャデラック・プレジデンシャル・リムジン」でしょうか。
ミサイルにも耐えうる強力な装甲でできたボディと、その車体をどんな状況でも動かせる走行性能。さらに大統領を迎えるにふさわしい内外装を備えているスペシャル中のスペシャルカーです。
しかし、大統領でもない限り、そのようなスペシャルなクルマを持つことは難しいでしょう。そこで今回は、市販されているショーファードリブンカーを紹介します。
トヨタ「センチュリー」
日本車を代表するショーファードリブンカーが、トヨタ「センチュリー」です。社長や役員用、公用車としてもお馴染みです。
センチュリーは、1967年にトヨタグループの創設者、豊田佐吉氏の生誕100周年を記念してデビュー。現モデルは3代目ですが、直線を基調とした古きよき日本車のスタイルや、漆黒のボディカラーなどは不変。日本の伝統工芸に通ずる気品をまとっています。
パワートレインは、3代目からは5リッターV型8気筒エンジンを核としたハイブリッドを採用。システム最高出力は431馬力となっており、日本の公道を走る上では十分以上の余裕を持っています。車内は静粛性を第一に設計されており、後部座席も電動リクライニングやオットマンを備え、20個のスピーカーやモニターで、音楽や映画を楽しむことが可能です。
そんなセンチュリーの価格は1960万円で、今回の3車種のなかではもっとも低価格です。しかし、日本の『粋』が詰まったセンチュリーの価値や存在感は、決して引けを取りません。
ちなみにセンチュリーには、「センチュリーGRMN」が存在します。2018年の箱根駅伝を先導し、TVなどで見たという人も多いのではないでしょうか。
特別なボディカラーやエアロパーツ、ホイールなどが装備され、センチュリーが持つ気品を崩さずスポーティに仕上げられており、トヨタのユーモアとモータースポーツへの意気込みが感じられる一台となっています。
メルセデス・マイバッハ「Sクラス」
ドイツ車の雄、メルセデス・ベンツには、「Sクラス」というフラッグシップグレードがあり、同ブランド随一のショーファドリブンカーとして認知されています。しかしメルセデスにはさらに上の、いわばショーファードリブン専用のモデル、メルセデス・マイバッハ「Sクラス」が存在します。
もともとマイバッハは独立した高級車ブランドでしたが、1966年からダイムラー・ベンツ傘下となり、独自のショーファードリブンカーを製造していました。
しかし、ビジネス面で利益を出せず、2011年にマイバッハの廃止を決定。2014年には、メルセデスのサブブランド「メルセデス・マイバッハ」として復活し、現在に至ります。
メルセデス・マイバッハ Sクラスは、メルセデス・ベンツSクラスがベース。しかしホイールベースを拡大し室内後部にゆとりを持たせているのが特徴で、後部座席は最大43.5度のリクライニングやオットマンを備えており、シャンパンなどを冷やせるクーリングボックスや専用シャンパングラスの格納スペースも確保しています。
メルセデス・マイバッハSクラスには、4.0リッターV型8気筒ツインターボと6.0リッターV型12気筒ツインターボの2種類のエンジンが用意。とくにV12エンジンは最高出力630馬力、最大トルク1000Nmを発揮する強力なユニット。そのエンジンがもたらすのは余裕と滑らかさで、どんな状況でも快適かつ確実にオーナーを移動させてくれます。
メルセデス・マイバッハSクラスの価格は2354万円から2877万円。高額なのは間違いはありませんが、パッケージを考えると、お買い得なショーファードリブンカーかもしれません。
ロールスロイス「ファントム」
ショーファードリブンカーの代名詞たる存在がロールスロイス「ファントム」です。ファントムの歴史は古く、1925年に初代が登場。現在までに8世代が製作されています。
現在のファントムには、6.8リッターのV型12気筒ツインターボエンジンが搭載され、最高出力571馬力、最大トルク900Nmという強力なスペックを発揮。全長5770mm×全幅2020mm×全高1645mm、車重2700kgの巨体を、250km/h(リミッター作動)で走行させることが可能です。
フロントの象徴的なパルテノングリルやボンネットのマスコット、観音開きのドアといった、オーナーの威厳を際立たせる風格を持つ外装も特徴ですが、ファントムがもっとも技術を注いでいるのが車内の快適性です。
最高級の素材で仕上げられたシートや内装はもちろんですが、計130kg以上もの遮音材により、車内の静粛性は世界最高レベル。さらに乗り心地を最優先にセッティングしたサスペンションや、スムーズな動力伝達を果たす8速ATなどにより「魔法の絨毯のような乗り心地」と評されています。
ファントムの車体価格は5460万円(消費税込、以下同様)。まさに一流のみが手に入れられる富の象徴ですね。
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以上、世界のショーファードリブンカー3選を紹介しましたが、3台とも個性的でそれぞれの魅力を放っています。スーパースポーツカーと並び、こちらも『いつかは乗ってみたい”』と夢に思えるクルマです。
この記事って、一年前に出た、「とある本」の焼き直し?
欧州のショーファーカーがなぜ200km/h以上で? そりゃ、「撃たれない」結構なスピードで走ることが求められるから? 窓開けて手を振られる国は幸せだと思う。