日産新型「スカイライン」発表で振り返る! 記憶に残るスカイライン5選

2019年7月16日、世界初の先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載した日産新型「スカイライン」が発表されました。そこで、60年以上もの長い歴史のあるスカイラインのなかから、記憶に残るモデル5台をピックアップして紹介します。

歴代「スカイライン」のなかから記憶に残る5台を紹介

 2019年7月16日、日産は新型「スカイライン」を発表しました。世界初の先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載し、新たな歴史を刻むことになります。

レースで勝つために作られた生粋のスーパースポーツセダン「スカイラインGT-R」
レースで勝つために作られた生粋のスーパースポーツセダン「スカイラインGT-R」

 スカイラインはプリンスが日産と合併する前の1957年に発売され、62年もの歴史を持つ日産を代表するロングセラーモデルです。

 時代の変遷とともにスカイラインは着実に進化を遂げ、つねに「技術の日産」を具現化してきました。

 そこで、長い歴史のある歴代スカイラインのなかから、記憶に残るモデル5台をピックアップして紹介します。

●C10型 3代目スカイライン

 日産とプリンスが合併した後の1968年、日産ブランドで初めて発売した「スカイライン」が通算3代目となるC10型です。「ハコスカ」と呼ぶほうが馴染み深いのではないでしょうか。

 C10型は当初、4ドアセダン、5ドアステーションワゴン、5ドアバンのボディタイプで発売され、後に2ドアクーペが加わります。

 エンジンは2リッター直列6気筒の名機「L20型」を搭載したグレード「2000GT」シリーズをフラッグシップとし、ほかに1.5リッターと1.8リッターの直列4気筒を搭載したモデルもありました。

 C10型でもっとも有名なのは、シリーズ初の「スカイラインGT-R」が誕生したことです。

 このPGC10型スカイラインGT-Rはレースに勝つために作られたモデルで、1969年に4ドアセダンが登場し、1970年には2ドアクーペ(KPGC10型)へとチェンジします。

 エンジンはプリンス時代の純レーシングマシンである「R380」のものをベースに開発された、160馬力を発揮する2リッター直列6気筒DOHC「S20型」で、量産車世界初の1気筒あたり4バルブを採用していました。

 スカイラインGT-Rは初勝利こそ辛勝でしたが、そこからはまさに破竹の勢いで勝ち続け、49連勝を含む通算52勝を飾ることになります。

●C210型 5代目スカイライン

 1970年代初頭の排気ガス規制もひと段落した1977年、5代目となるC210型スカイランが発売されました。広告で使用された「スカイライン ジャパン」というキャッチコピーから、通称「ジャパン」の愛称で親しまれています。

 C210型の最大のトピックスといえば、シリーズ初となるターボエンジンの搭載です。

 ターボは排気ガスの流れによるエネルギーでタービンを回転し、タービンのもう一端にあるコンプレッサーを回転させることで、エンジンが吸入する空気を圧縮して密度を高め、出力を向上させるシステムです。

 1979年に国産車で初となるターボエンジンが日産「セドリック/グロリア」に搭載されると、翌年に同型の2リッター直列6気筒の「L20ET型」がスカイラインにも搭載されました。

 L20ET型は最高出力145馬力、最大トルク21.0kgmを発揮し、自然吸気のL20型と比較すると10%以上もの出力向上を実現。

 その後、ターボエンジンはスポーティカーの必須アイテムとなり、国産車によるパワー競争へと発展していきます。

●R31型 7代目スカイライン

 1980年代には、スカイラインシリーズのみならず、日産の中大型車を支えてきたエンジン「L型」も、さすがに設計の古さは否めなくなりました。

 そこで、1985年に発売された7代目となるR31型スカイラインからは、新世代エンジン「RB型」を搭載します。なお、R31型は7代目ということで「7th(セブンス)」の愛称で呼ばれました。

 RB型エンジンではS20型以来となる直列6気筒DOHCが復活。さらにシリーズ最強の「RB20DET型」ターボエンジンも加わります。

 また、スカイラインは1985年から始まったレース「全日本ツーリングカー選手権」に本格参戦していて「グループA」と呼ばれるカテゴリーで争っていました。

 このグループAは変更できる部品が厳しく制限されており、ノーマルの状態でのポテンシャルが、そのまま戦闘力の向上につながりました。

 そこで、日産は1987年にレースベースに特化した「GTS-R」を800台限定で発売します。GTS-Rには専用ターボチャージャーなどが採用され、210馬力を発揮する「RB20DET-R型」エンジンを搭載し、固定式のフロントスポイラーや、当時としては大型のリアスポイラーを標準装備。実際にGTS-Rはレースで活躍しますが、さらなる戦闘力アップは喫緊の課題でした。

●R32型 8代目スカイライン

 日本がバブル景気の絶頂期を迎えようとした1989年、8代目スカイラインである「R32型」が発売。特徴としては7代目からボディサイズを小さくし、スポーティさを取り戻したことでした。

 また、R32型では16年ぶりとなる「スカイラインGT-R」の復活という歴史的な出来事がありました。

 最初のスカイラインGT-Rがそうであったように、R32型GT-Rもレースで勝つことが目的で開発されたモデルです。

 エンジンは280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒DOHCツインターボの「RB26DETT型」を搭載。レースでは最高で550馬力を絞り出したといいます。

 また、シャシもFRをベースとしながら、路面状況に応じた高度な電子制御で前後輪に自在に駆動力を配分する電子制御トルクスプリット4WDシステム「アテーサE-TS」を搭載。またサスペンションも新開発の4輪マルチリンク方式を採用するなど、世界トップクラスの運動性能を実現していました。

 全日本ツーリングカー選手権には1990年シーズンから参戦となりましたが、いきなりデビュー戦でポールトゥウインを飾り、そこから4シーズンで29戦29勝を誇りました。

 GT-Rは文字通り無敵で、グループA車両による全日本ツーリングカー選手権消滅のきっかけになったといいます。

●R34型 10代目スカイライン

 10代目という記念すべきモデルが、最後の直列6気筒エンジン搭載車となったR34型スカイラインです。

 先代のR33型はボディサイズが大きくなったことと、丸みをおびたデザインだったため、見た目のシャープさが失われてしまったと評され、R34型では全長を短くし、エッジの効いたデザインに変更されました。

 そしてスカイラインで最後となったGT-Rが1999年に発売されます。

 メカニズムの多くはR32型GT-Rから踏襲されましたが、年を追うごとに改良が重ねられた結果、R34型GT-Rは究極のGT-Rといわれました。

 2001年にスカイラインがフルモデルチェンジして「V35型」に移行しますが、GT-Rだけは生産が続けられました。

 しかし、日産の経営状態が悪化していたことと、エンジンの世代交代でV型にシフトしていったこと、さらに排出ガス規制の強化もあり、2002年にスカイラインGT-RはR34型をもって生産終了。

 同時に、最後の限定車として「V・specII Nur」と「M・spec Nur」が各500台販売されるともアナウンスされますが、発表即日に完売するという伝説を残しました。

 こうしてスカイラインGT-Rとしての歴史は幕を閉じますが、2007年に日産「GT-R(R35型)」として新たな系譜が始まり、今日に至ります。

 ちなみに、あまり知られていませんが、このR34型をベースに3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載したFRスポーツ車の試作検討車が製作されています。

 このクルマはベース車のホイールベースを35mm延長しつつ、全長を4600mmから4400mmと200mm短縮した異質なフォルムで、関係者からは「チョロQ GT-R」のニックネームで呼ばれていたようです。

 この試作検討車は「Z33型フェアレディZ」の開発に活かされました。

※ ※ ※

 2019年はGT-R誕生50周年という記念すべき年でした。前述のとおりプリンスが作った初代スカイライン「ALSI型」から数えると62年の歴史があります。

 初代スカイラインはいまでいうプレミアムカーで、先進的なド・ディオン式のリアサスペンションや、2スピードワイパーなど日本初の装備が採用されました。

 2代目ではレースに出ることで、高性能なスポーティセダンのイメージを確立し、後に続いていきます。

 2019年7月16日に発表された新型スカイラインは4ドアセダンのみで、最高出力400馬力を誇るグレードもあるなど、スポーティさとプレミアム感を強調していますが、ある意味原点回帰したのかもしれません。

記憶に残る名車、歴代スカイラインを画像でチェック(24枚)

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