最初の志はどこいった? 初期のコンセプトから変わってしまったクルマ5選
「ミニ」のボディサイズは、もはや「ミニ」ではない!?
●「ミニ」
2001年に登場した「MINI(ミニ)」は、BMWグループのプレミアムスモールです。
世界的に人気が高かったBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)時代の名車であるミニをモチーフとして「もしBMC時代のミニがフルモデルチェンジを繰り返していたら、どうなっていたか」と想定して実際にデザインを繰り返すプロセスを経て、旧ミニの面影を色濃く残しながらも時代に合ったクルマを誕生させました。
走りもBMWによる洗練されたものとなり、ゴーカートのようにキビキビと走るフィーリングも健在で、誰もが「これがいまのミニだ」と納得するものでした。
その後、モデルチェンジを2度行ないますが、第1世代では3ドアハッチバックとコンバーチブルだけだったのが、クーペ、ロードスター、カントリーマン、ペースマン、4ドアなど、バリエーションが一気に増えました。
しかしながら「変わらない良さ」を基本コンセプトとしているために、3ドアハッチバックはひと目見ただけでは世代ごとの区別ができないほどに似ています。
現在のモデルは2013年に発売された第3世代となっていますが、新開発プラットフォームへの変更などにより車幅を拡大しました。日本での登録時は3ナンバーとなり、もはや「ミニ」といえないほど大型化してしまいます。
一見、コンセプトは変わっていないようにも思えますが、そもそも「ミニがフルモデルチェンジを繰り返していたら」ということからデザインされたのがニューミニのコンセプトなので、本来ならばニューミニのデザインもモデルチェンジで変わるべきではないでしょうか。
現在、販売は好調なので、デザインで冒険する必要はないのかもしれません。
●ホンダ「インサイト」
1999年にホンダは、世界最高水準の低燃費を目指したエコカー「インサイト」を発売しました。1リッター直列3気筒SOHC VTECエンジンに、アシスト用モーターを組み合わせた「ホンダIMA(インテグレーテッド モーター アシスト)システム」と名付けられたパラレル式ハイブリッドシステムを搭載し、発売時点では量産ガソリン車として世界最高の低燃費35km/L(10・15モード)を実現しました。
そのため、2名乗車とし、アルミ製シャシやアルミと樹脂を組み合わせたボディパネルを採用して、車両重量は800kg台前半に抑えられていました。
外観もリアタイヤをスカートで覆い、空気抵抗はCd値0.25を達成。当時のホンダが持つ低燃費化技術を凝縮したクルマでしたが、2名乗車では一部のユーザーからしか受け入れられず、2006年に販売終了となります。
その後ブランクを挟んで2009年に登場した2代目インサイトは、トヨタ「プリウス」に対抗するために5人乗りの5ドアハッチバックに。
「フィット」のコンポーネントを徹底的に軽量化し、シビックハイブリッドと同型式の1.35リッター直列4気筒SOHC i-VTEC i-DSIエンジンをインサイト用にチューニングして搭載。
他車との共有部品を増やすことで低コスト化も進めた結果、3代目プリウス発売直前の2009年4月度の販売台数で、ハイブリッド車で初めて月間販売台数第1位となりました。
しかし、さらに燃費性能を高めた3代目プリウスにかなわず、2014年に販売を終了しました。
そして再度のブランクののち、2018年に発売された3代目インサイトは「シビック ハイブリッド」がなくなったことで、後継車種の役割が与えられたために4ドアセダンとして登場しました。
10代目シビックと多くの部分を共用し、全長4675mm×全幅1820mm×全高1410mmと、長く広く低いスタイリッシュなセダンとなりましたが、初代インサイトの「すべては低燃費のため」というコンセプトはどこかへ消えさってしまったようです。
インサイトの燃費34.2km/L(JC08モード、LXグレード)は、プリウスの37.2km/L(JC08モード、Eグレードと4WDを除く)に水をあけられていますので、初代ほどのインパクトはありません。
※ ※ ※
初期のコンセプトから大きく変わってしまったとしても、それは悪いことではありません。むしろ生き残るためというメーカーの判断でしょう。
しかし、どちらかというと「ブレない」コンセプトのクルマのほうが、潔さを感じてしまいます。実際、ブレないクルマはロングセラーな場合が多いですから。
【了】
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