「5G」時代到来でどう変わる? 移動手段からつながるクルマへの将来像とは
カーライフは「5G」の登場でなにが変わる?
現在では、5G回線の普及を見据えて携帯会社の大手3キャリアと各自動車会社が協力した新たな「コネクティッドサービス」の開発を進めています。
KDDIでは、5Gに向けて高速、大容量、低遅延という特性を活かし、クルマを遠隔で制御しながら自動運転をおこなうための実証実験などに取り組み、2019年2月には国内初の5Gなどを活用した複数台の遠隔監視型自動運転の実証実験がおこなわれています。
また、ソフトバンクとホンダは、5Gコネクティッドカーのクローズドな検証環境を2018年12月に世界で初めて構築し、ノキア製の通信機器を利用して本格的な共同研究をはじめました。
さらに、ソフトバンクとトヨタ自動車が新会社「MONET Technologies」を作り、利用者の需要に合わせて好きなときに配車ができる「オンデマンド交通サービス」や、企業向けシャトルサービスなどの展開を計画しています。
ドコモでは、BMWグループと提携し、クルマへの「コンシューマeSIM」の搭載を予定。このサービスによってスマートフォンとクルマを連携し、持ち主自身のプロファイルをクルマに結び付けられるようになり、さまざまなスマートフォンのサービスをクルマだけで使えるようにする技術の実現に取り組んでいく予定とのことです。
既存のコネクテッド分野にさまざまなサービスを提供しているKDDIは、次のように話します。
――コネクティッドの取り組みについて、教えてください。
通信モジュールを車載することにより、クルマがセンターと通信でつながり、安心安全で便利なサービスを車載機器向けに提供できるようになり、運転速度、ブレーキ回数、ドライブレコーダーの画像など、クルマの情報が収集できるようになります。
――具体的にはどのようなサービスなのでしょうか。
事故や車両トラブル発生時の緊急通報、オペレーター通話や、車両の盗難防止と盗難発生時の追跡などがあります。また、車載機器を介しクルマから収集するデータの活用としては、運転速度や急ブレーキ、急ハンドル等の運転情報を解析してドライバーの運転の安全性を評価し、保険料を算定するテレマティクス(電気通信と情報処理を合成した造語で、移動体の通信システムを利用するサービスの総称)保険も登場しています。
さらにプロープ情報(走行する車両のセンサーから収集される交通情報)を正確に収集することで、地図上にクルマが通行した経路を表示し、通行できた道とできない道を可視化できます。
これは、災害時における被災地域の把握をはじめ、的確な救助や避難に役立てることにつながります。またドライブレコーダーが注目されていますが、撮影した映像を、インターネットなどの通信回線を通じてセンターで収集解析し、ドライバーの支援などにつなげる実証もおこなわれています。
――今後の5Gについて
高速、大容量、低遅延という5G通信の特性を活かし、将来的には広域狭域の通信の両方を活用し、自動運転やクルマとほかのクルマ、あるいは道路の周辺の人とモノとが通信をおこなうV2X(クルマでおこなわれる通信サービスの総称)が実現していくことで、ドライバーにも歩行者双方にとっても安心安全な社会が実現していくと予想できます。
しかし、ユーザの大切なデータを扱うためのプライバシー保護が課題にもなっています。ハッキングといったセキュリティリスクに晒されるということもあるため、データの保護だけでなく強固なセキュリティの仕組みづくりが重要となります。
今後、DCM(専用通信機)などを搭載したクルマは増えていき、ユーザーにとってより身近なものになります。通信技術の進化は、「自動運転」の進化ともいえます。
DCM(専用通信機)などは、DSRC(Dedicated Short Range Communication)という狭域の無線通信により、周囲の状況を読み取る通信が可能です。このようなシステムの進化によって、クルマ自体が安心・安全・快適な運転のための制御をおこなうことが可能になっていくのです。
これからのクルマは、自動車メーカーだけでなく通信事業者や関連するサービスを展開するさまざまな団体などと、繋がることで、より安全で快適な「コネクティッドサービス」が実現していきます。
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