脇役でも個性は一級!「湾岸Midnight」に登場するクルマ5選:其の2

湾岸Midnightを語る上で外せないロータリーエンジンを搭載したクルマたち

●マツダ 「アンフィニRX-7(FD3S型)」

マツダ アンフィニRX-7(FD3S型)

 ロータリー車のチューニングを得意とする「スピードファクトリー RGO」のRGOは「Racing Gang Ota」の略称で、ロータリーエンジンがブローする寸前の最もパワーが出る状態を維持するチューニングは「大田マジック」と呼ばれていました。

 その大田の誘いでRGOに所属していた「マサキ」は、サバンナRX-7(FC3S型)で谷田部最高速を競っていましたが、谷田部で事故を起こしてからは最高速の世界からは遠ざかっていました。

 しかし、湾岸線で悪魔のZに遭遇したことで「本物のチューンド」に魅せられてしまいます。その後、大田の組んだRX-7(FD3S型)で湾岸にカムバックし、悪魔のZとブラックバードを相手に首都高速・都心環状線(C1)の赤坂ストレート300km/hに挑戦しますが、バトル中にエンジンをブローさせ、あわやクラッシュ寸前になります。

 1991年に登場したアンフィニRX-7(FD3S型)は、先代のサバンナRX-7(FC3S型)とまったく異なる新開発のシャーシに、255馬力を発揮するシーケンシャルツインターボで武装した「13B」型ロータリーエンジンをフロントミッドシップに搭載したピュアスポーツカーで、モデル末期には280馬力までパワーが引き上げられました。

 デビュー直後のモデルはリアタイヤが簡単にブレイクする「テールハッピー」なクルマでしたが、マイナーチェンジごとに熟成され「日本が世界に誇れるハンドリングマシン」と呼ばれるまでに熟成しました。

 現在ではスカイラインGT-Rやスープラと同様に海外での人気が急騰し、高値で取引されるようになっていますが、レシプロエンジンに比べてメンテナンスに気を使うロータリーエンジンのため、程度の良い個体を探すのが困難になっています。

●マツダ サバンナRX-7(FC3S型)

マツダ サバンナRX-7(FC3S型)

 チューニングショップ「ゼロ」に所属していた経歴を持つ自動車評論家の「城島洸一」は、城島が司会を務める自動車番組「ドライブGOGO」に出演した「秋川零奈」からアキオと「悪魔のZ」の存在を知らされたことで、チューニングカーへの熱い思いがよみがえりました。

 ロータリーエンジン搭載車より速く走れるクルマがあるとわかっていながらも、思い入れが深いサバンナRX-7(FC3S型)にこだわり、過去に自分がゼロで仕上げたサバンナRX-7を探し出して譲り受け、450馬力を発揮する状態で悪魔のZとブラックバードの撃墜を狙います。

 1985年に発売されたサバンナRX-7(FC3S型)は、初代サバンナRX-7(SA22C型)から刷新されたシャシを持ち、最高出力185馬力の13Bロータリーツインスクロールターボエンジンをフロントミッドシップに搭載。ポルシェ「944」を脅かす運動性能を持って登場し、国内はもちろん海外でも高く評価されました。

 モデル途中ではハードにチューニングされたサスペンションを備え、2シーター化された限定車「∞(アンフィニ)」や、電動ソフトトップを有する「カブリオレ」なども追加されています。

 作中では、初めて乗った悪魔のZを華麗に乗りこなす城島のドライビングテクニックを、地獄のチューナー・北見が「チューニングカーがわかっている」と評価するシーンがあります。

「頭文字(イニシャル)D;しげの秀一」に登場するFC3S型RX-7をドライブする高橋涼介も、ずば抜けたドライビングテクニックを持つキャラクターとして描かれていますので、漫画作家達の眼からは「FC3Sは、卓越したドライビングテクニックをもつドライバーが乗るもの」に見えるのかもしれません。

* * *

 湾岸Midnightは1990年に不定期連載が開始されたあと、版元が変わり1991年から2012年まで連載され、さらに2014年から2015年にもとの版元で連載されました。

 2016年には再度別の版元で連載するなど、20年以上に渡り版元を変えてシリーズ連載された作品なので、有名なコミックですがすべてを読んだ方は少ないかも知れません。

 実際の公道ではありえないスピードと、人間模様の描写が魅力の作品ですので、読んだことがない人は一度目を通してみてはいかがでしょうか。

【了】

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Writer: くるまのニュース編集部

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