なぜ極秘開発車両なのにお披露目? カモフラージュ車が街中を走行する理由とは

迷彩からスパイダーマンまでメーカーの遊び心と実用性

 ひと口にテストモデルのカモフラージュ柄といっても、デザインはさまざまです。基本的に、全体像をぼかすことが目的なので、必然的に細かい、茫洋とした模様が多くなります。

アウディの電気自動車「e-tron」のプロトタイプ

 そのなかで、多く目にするのが「デジタルカモフラージュ」。いわゆる「迷彩」なのですが、ミリタリー関係で用いられるような緑と茶色の迷彩ではなく、縞模様や唐草模様、渦巻き模様などがあり、主に白と黒とのモノトーンで描かれるケースが多く見られます。

 ミリタリーの迷彩は、周囲に溶け込むことを目的としていることに対し、テストモデルに用いられる迷彩は、細かい模様が動くと画像認識能力が低下するという人間の特性を利用しており、あくまでもクルマが動いていることを想定した迷彩です。

 また、第一次世界大戦中に多用された、戦艦の前後をわからなくさせるための「ダズル(幻惑)迷彩というデザインが採用されたこともありました。

 ほかにも、カラフルなモザイク模様や花柄のような模様をラッピングするなど多岐にわたります。過去には、アメリカンコミックの「スパイダーマン」とコラボレーションした蜘蛛の巣柄なども存在。各メーカーのコンセプトや遊び心が反映されているのがテストモデルのラッピングでもあるのです。

 現在、国内のテストモデル事情はどうなっているのでしょうか。大手自動車メーカーにデジタル迷彩のラッピングカーについて質問したところ「開発段階の車両のことですので、残念ながらテストスケジュールなどを情報公開することはできません。使用しているカラーリングに関しても、その意図や経緯をお話しすることは難しいです」とコメントしています。

 クルマ好きの人がブログなどで「テストカーを目撃した!」と投稿していることもありますが、新型車のテストカーは、自動車業界のみならず社会的にも注目を集める存在です。

 ネットニュースやSNSで大きな話題になるのも、その証拠といえるでしょう。とはいえ頻繁に見られたらスクープではなくなるため、テストモデルと出くわすのは幸運なことだといえます。

【了】

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