なぜ人気が低迷? 軽でかつての王者「ワゴンR」が「N-BOX」に勝てない理由
最近の売れ筋軽自動車といえば、ホンダ「N-BOX」です。しかし、2011年頃までの売れ筋軽自動車はスズキ「ワゴンR」でした。なぜ、激化する軽自動車市場で売れ続けていた「ワゴンR」の人気は低迷してしまったのでしょうか。
王者「ワゴンR」人気低迷の理由とは
近年の軽自動車市場では、ホンダ「N-BOX」が好調です。2018年度(2018年4月から2019年3月)における販売台数は23万9706台となり、軽四輪車新車販売台数において4年連続となる第1位になっています。
最近では、「軽自動車=N-BOX」というイメージが定着化しつつありますが、N-BOXの登場以前に軽自動車市場を席巻していたのがスズキの「ワゴンR」。なぜ長年王者として君臨していた「ワゴンR」の人気は低迷したのでしょうか。
スズキの「ワゴンR」は、長年にわたり軽自動車市場を席巻していたモデルです。初代「ワゴンR」は1993年に登場し、いまの軽ハイトワゴンブームの元祖的存在といわれています。
初代「ワゴンR」の全高1680mmは、当時の軽自動車に比べると背が高いモデルのため室内空間が広く設計されていました。後席の足元を見ても大人が着座するには充分なスペースが確保されているなど、人気が高いモデルです。
その後、2代目(1998年)、3代目(2003年)、4代目(2008年)までは販売面も順調でした。毎月の新車販売台数を発表している全国軽自動車協会連合会によると、記録が残っている2006年から2011年までの6年連続で首位を獲得するなど、絶対的王者として「ワゴンR」は軽自動車市場に君臨しています。
しかし、2012年に登場した5代目モデルは、前年12月にホンダ「N-BOX」が登場したことなどにより、2012年度の新車販売台数ランキング3位と王座の座を奪われてしまいます。
その後も、ほかの軽自動車が全面一新や一部改良を施すことで人気を得ていき、「ワゴンR」の販売順位は下がっていくのです。2017年に現行モデルの6代目にモデルチェンジをおこない、年間販売台数5位に位置しますが当時の勢いはありません。
その理由には、ユーザーニーズの変化が存在します。最近の軽自動車におけるトレンドは、『ハイトワゴン』と『スライドドア』のふたつです。
定義はないものの、全高1700mm以上のクルマを『ハイトワゴン』と呼び、従来の軽自動車よりも高い居住性を誇ります。また、近年のミニバンでも標準採用される「スライドドア」も人気アイテムのひとつといえ、2018年度の軽自動車販売台数TOP3は、ホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」と、ふたつの要素を兼ね備えています。
一方で、現行「ワゴンR」の全高は1650mmなうえ、スライドドアを備えていません。これらの販売動向について、スズキの販売店スタッフは次のように話します。
「軽自動車市場は相変わらずの人気です。国内全体の新車販売台数を見ても全体の約4割が軽自動車といわれています。そのなかで、「ワゴンR」はいまのトレンドから外れているかもしれませんが根強いファンや固定客層は存在します。
そのため、いま流行りの軽自動車をご要望されるお客様にはスペーシアシリーズをおすすめしています。全高も高くスライドドアを備えているうえに、趣向に合わせた3モデルをラインナップしているため、人気のモデルです」
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ユーザーのニーズは時代とともに変化します。そのために、売れるクルマにシフトするのもビジネスとしては当然です。「ワゴンR」はかつての勢いはないものの、新車販売台数においてはTOP10を維持し続けています。
王者ではなくても、売れているクルマには変わりがないようです。
N-BOXとワゴンRはジャンルが違うでしょうに
ムーブに負けていることが問題でしょうに