海外王室の知られざる「おクルマ」 日本車との意外な関係性とは
「世界で一番幸福な国」の公用車と日本の意外な関係とは
国立ブータン研究所の調査によると、ブータンは2005年の国勢調査で96.7%の国民が「とても幸せ」もしくは「幸せ」と回答したことから「世界で一番幸福な国」と呼ばれるようになりました。この調査は5年ごとに行なわれており、2015年の調査でも91.2%の国民が「とても幸せ」もしくは「幸せ」と答えています。
そんなブータンの公用車は、トヨタ「ランドクルーザー(100系)」。日本車は安全性や燃費の良さなどから世界でも高い評価を得ていますが、世界で一番幸福な国の公用車に日本のクルマが使われているというのは、その評価を後押しをしてくれているようです。
ブータンでは2011年からクルマの輸入が禁じられていますが、2014年に日産と協力関係を結び、日産の電気自動車が少しずつ普及し始めています。この背景には、ブータンでは水力発電でクリーンエネルギーとしての電気エネルギーを十分に生産しているものの、自国内での消費量は約5%程度に留まり、残りはインドに輸出しています。しかも、その輸出で得た利益でインドから石油燃料を買ってガソリン車を動かしているという現状があります。
ブータンではこの過剰な電気エネルギーを電気自動車に使い、燃料の輸入に頼らずとも自国内でエネルギーを賄えるクルマを普及させたいのです。この協力関係や普及が順調に進めば、公用車にもEV車が投入されるかもしれません。
■ ローマ教皇の御輿玉座の代わりは「パパモビル」
ローマ教皇の公用車として有名なのが「パパモビル」と呼ばれるクルマです。ラテン語で教皇のことを「Papa(パーパ)」と呼ぶこと、イタリア語でクルマは「automobile(アウトモビレ)」スペイン語では「automovil(アウトモビル)」と呼ぶことから作られた「教皇のクルマ」といった意味の造語です。
かつてローマ教皇が一般拝謁する際に使われていた移動式玉座(教皇御輿/御輿玉座)が現代ではあまり実用的でないことから、20世紀以降は教皇の公用車としてクルマが使われるようになりました。
なかでも「パパモビル」として有名なのは、前々ローマ教皇であるヨハネ・パウロ2世が故国ポーランドを訪れた際に、信者に祝福を与えられるよう小型のトラックを改造して乗っていたクルマの形に似せたもので、車体後部に特製のガラスで覆われた小部屋を取りつけたタイプのものです。
しかし、こうした「部屋つき」のクルマは、暗殺未遂やテロ、傷害事件などの警備面から、現在では使われなくなりました。現在のフランシスコ教皇が使われている「パパモビル」は、メルセデス・ベンツやフィアット「プント」、キア「ソウル」などが用いられていることが確認されています。
【了】
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