なぜ消えた? 昔は標準装備のシガーライターや灰皿が無くなった理由とは

喫煙は、昭和から平成にかけて、さまざまな場所で可能でした。バスや飛行機などの交通機関や自分のクルマなどでタバコを吸うのは当たり前だったといえます。しかし、タバコに関する悪影響が社会問題となり、徐々に喫煙者数が減少。それと同時にクルマに当たり前のように装着されていたシガーライターや純正灰皿もなくなってきます。なぜ、プライベート空間の車内装備まで影響が出ているのでしょうか。

ユーザーニーズの変化はクルマの装備にも影響

 一昔前は、飛行機の機内や電車内、駅のホームといったさまざまな場所でタバコを吸うことができました。同時に、クルマには、シガーライターや備え付けの灰皿などが標準装備されていたのです。

 しかし、最近では全国各地で「受動喫煙防止条例」が成立し、防止を義務化するところも増えています。公共の場では、タバコを吸わない人に対する配慮が必要ですが、プライベート空間の車内でもシガーライターがなくなってきています。なぜ、シガーライターや灰皿を装備するクルマは減少したのでしょうか。

最近、見かける機会の減ったシガーライター

 日本の喫煙人口は年々減少傾向です。日本たばこ産業の調査では、喫煙人口の男女別割合は1997年度に男性(56.1%)・女性(14.5%)だったのに対して、2007年度は男性(40.2%)、女性(12.7%)と10年間ではやや減少。また、2017年度には男性(28.2%)、女性(9.0%)と男性に限ってみると約半数まで喫煙者が減っているのです。

 クルマの車内に装着されていた、タバコに火をつけるための電熱式シガーライターは、最近ではほとんど見かけなくなり、ました。同様に、シガーライターとセットで標準装備されていた灰皿も見かけません。

 現在では、シガー部分を充電口として携帯の充電やドライブレコーダーとして使う方法が一般化され、シガーソケットの部分は残っても、タバコの絵柄が書かれた蓋(電熱線部分)は付いていないことが多いです。

 シガーライターや灰皿の装備が無くなりつつある理由について、ホンダ関係者は次のように話します。

「昨今は車内で喫煙される方が減っています。弊社の乗用車では、セダンモデルの『グレイス』にシガーライターをオプション設定しております。これは、『グレイス』のユーザーにご年配の方が多く、シガーライターのご要望があるからです」

 また、マツダ関係者は、次のように説明しています。

「現在のマツダ車には、シガーライターのオプション設定はありません。世の中の喫煙率が減っていると同時に車内での喫煙に対するニーズも減少しています。おそらくですが、約10年前からシガーライターの設定はなくなったと思います。

 ただし、灰皿に関してはディーラーオプションとして、カップ式のものがいまでも残っています。」

※ ※ ※

 ニーズの変化によって、シガーライターや灰皿は減少傾向ですが、USBタイプの充電口以外にいまでもシガーソケットが残っている理由とはなんでしょうか。

 前出のマツダ関係者は次のよう説明しています。

「最近のクルマには、USBタイプの充電口が多く装備されています。それでも、シガーソケットが残る理由としては、ドライブレコーダーやクルマ用電化製品が、未だにシガーソケットのタイプを採用していることが多いためです」

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