トヨタで1番売れているクルマ 新型「RAV4」が見せたSUVの進むべき方向性とは

新型RAV4で狙ったのは「SUV本来の魅力であるワクドキ感」

 SUVが自動車市場の大半を占める現代ですが、そもそもクロスカントリー4WDとステーションワゴンなどのRV車をいかに近づけるかというのが、黎明期のSUVに与えられた命題でした。初期のSUVであるトヨタ「ハイラックス・サーフ」や、日産「テラノ」は4WDピックアップトラックをベースにしていましたが、それをRAV4が一気に乗用車に近づけたという歴史があります。

 ですが、乗用車ライクなSUVが当たり前の現代において、SUV本来のベクトルにはもはや個性がありません。昨年続いたGクラス、ジムニー、Jeepラングラーのフルモデルチェンジにより、多くの自動車ファンが本格的な悪路走破性を持ったヘビーデューティなモデルを再評価し始めました。

本格的な悪路走破性を可能としたヘビーデューティなRAV4

 そんな矢先に登場した新型RAV4は、SUVでありながら時計のG-SHOCKのような無骨なフォルムを持ち、しかもパートタイム4WDなみの悪路走破性を秘めています。これは並み居る国内外のSUVの中で、強い個性となっていることは間違いありません。

 見た目だけヘビーデューティな雰囲気を纏ったSUVやクロスオーバーはごまんとありますが、今後多くの自動車メーカーがRAV4を追随するモデルを開発することは想像に難くありません。

 2014年には完成していたというダイナミックトルクベクタリングAWDの技術ですが、開発者によれば「正直言って、コストが高いメカニズムなので、レクサスくらいにしか使えないと思っていた。だから、RAV4のチーフエンジニアからぜひ使いたいと言われた時は驚いた」といいます。

 佐伯禎一チーフエンジニアが新型RAV4で狙ったのは、「SUV本来の魅力であるワクドキ感」でした。クロスカントリー4WD、そしてスポーツユーティリティトラックがブーム再燃の兆しを見せている中で、リスクを恐れなかった英断は見事に結実しているのではないでしょうか。

 これからのSUVが目指すべきなのはもはやオンロードを中心としたオールマイティさではなく、ナンチャッテではない“ホンモノの付加価値”を持つことなのかもしれません。

【了】

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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