売れなくなった車 離れたのはユーザーか、メーカーか 車史で振り返る平成

平成は日本国内で車の売れ行きが下がった時代でもありました。車から離れたのはユーザーなのか、それともメーカーなのか。しかし平成後期は新たなクルマの楽しみ方も生まれました。平成を車史で振り返ります。

新車は地味な印象の平成後期、新たなクルマの楽しみ方も

 平成は、日本国内で車の売れ行きが下がった時代でもありました。各社が相次いでスポーツカーなどを打ち出した平成初期と比べると、地味な印象の平成後期のクルマ史ですが、一方でクルマが売れなくなる過程では、カーシェアリングなど新たなクルマの楽しみ方も生まれました。

 平成15年(2003年)頃になると、SUVが世界的に増えました。SUVはもともと悪路を走破するためのクルマとして誕生したので、サイズの大きなタイヤを装着するなど、ミニバンに比べ外観デザインもスタイリッシュ、ボディの上側はワゴンと同様の形状なので、居住性も快適で荷物も積みやすいです。

 この特徴が子育てを終えてミニバンを卒業したユーザーに歓迎されました。一度背の高いミニバンを所有すると、もはや背の低いセダンやクーペでは窮屈に感じます。だからといって、ミニバンでは車内が過剰に広く、もっとカッコイイクルマに乗りたい気持ちもあります。

日本でいまのSUVブームの火付け役的な存在、マツダ「CX-5」

 そこを上手に満たすクルマがSUVです。居住空間の広さは2列シートのミニバンという造りなので、実用性とカッコ良さをバランス良く両立させました。平成15年(2003年)頃には、メルセデス・ベンツやBMWのSUVが活発に輸入されてイメージも高まり、人気のカテゴリーになりました。

 SUVを担当したメーカー開発者は、「日本では、海外でほとんど販売できないミニバンと軽自動車の人気が高いです。特殊な市場といえますが、SUVとコンパクトカーだけは、日本国内と海外の両方で売れ行きを伸ばせます。世界的に販売効率の高いカテゴリーなので、車種の数も増やしやすいです」とコメントしています。

 ミニバンやSUVが売れ行きを伸ばす一方で、平成の時代には、日本国内でクルマの売れ行きが下がりました。先に述べた通り、平成2年(1990年)には国内販売が778万台に達しましたが、翌年から下降を開始して、平成12年(2000年)には596万台、平成22年(2010年)は496万台と落ち込んでいきます。直近では少し持ち直しましたが、それでも平成30年(2018年)は527万台です。

 このように平成に入ってクルマの売れ行きが下がった背景には、平成元年に行われた自動車税の改訂がありました。3ナンバー車の不利が撤廃されると、各メーカーともに海外向けの3ナンバー車を国内へ流用するようになったのです。問題はサイズの拡大ではなく、海外向けの商品を日本に流用する安易な商品開発にありました。ユーザーは「日本車の日本離れ」を感じて、売れ行きを下げていきます。「日本ユーザーのクルマ離れ」ではないのです。

 その一方でメーカーは海外で売れ行きを伸ばしていきます。たとえばトヨタであれば、平成2年(1990年)の海外販売台数は237万台でしたが、平成12年(2000年)には338万台、平成22年(2010年)には596万台に増えています。平成30年(2018年)は798万台に達しました。対する日本は156万台ですから、トヨタの国内販売比率は16%です。ほかのメーカーも含めて、日本車が海外で好調に売れて、日本は伸び悩む図式ができあがりました。

 ただし、クルマが売れなくなる過程では、新しいムーブメントも生まれました。

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1件のコメント

  1. 私は父は平成8年1996年5月に生産、販売を始めたファミリームーバー初代ホンダステップワゴンに13年間乗っていました。 私は運転していませんが、父の運転するステップワゴンに乗っていました。 私は初代の形を復刻してくれないかと思っています。
    私はコラムシフトでCDナビゲーションとカーラジカセが分かれているところが大好きです そして、サンルートがあったのも良かったです
    本田技研工業(株)は平成8年1996年5月10月、金曜日から生産販売を始めてからなお 現在も生産、販売をしています。

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