ホンダがF1好調で活気戻る!? 再び日本の技術が世界で評価される日が来るか

出費は年間500億円以上といわれる「F1」の世界

 2015年から復帰した「第4期のホンダF1」はさらに酷い状況でした。なにしろ速いとか遅いというレベルにすら達していなかったのです。シーズン開幕前のテストから、満足に走ることさえ出来なかったからです。この体たらくを3年も続けてしまう。一説によれば年間500億円以上という出費をしながら、技術で劣るイメージを世界中に発信したのだから厳しいです。

 営業系を中心に社内から「辞めちまえ!」という声が多数出たといいます。猛省して挑んだ2年目もメルセデスやフェラーリ相手に赤子同然。そんな状況の中、OBから「このまま終わることは許されないぞ!」叱咤激励を受け、F1撤退は出来なかったとのこと。風向きが変わったのが3年目の夏前。経営陣はF1関連の人事を刷新します。

明るいチームになったホンダF1

 新任担当者が真っ先に行ったのは成績の悪さを100%ホンダの責任としていたマクラーレンとの決別。新任担当者はタフなネゴシエーターで、海千山千のマクラーレンに対し手切れ金を支払うことなく離縁します。

 2018年は陽気なイタリアのチーム『トロロッソ』と組み、F1でのポジションこそ低いけれど、傷心のホンダにとって素晴らしい相棒になりました。

 その後はさらに開発担当者も交代させるなど、ホンダは背水の陣を取ります。すると徐々に結果が出てくるから面白いです。決定打になったのが、一流チームである『レッドブル』へのパワーユニット供給を決めたこと。レッドブルは、メルセデスやフェラーリより優れた車体技術を持つといわれます。レッドブルにとっても評価低かったホンダと組むのは大きな決断だったことでしょう。

 2019年はそのいい流れが開幕戦での表彰台に結びつきます。そして第2戦のバーレーンでは、レッドブルのセットアップ決まらず四苦八苦したのも関わらず、あわや3位かと思われた4位。さらに全て完走し、ホンダの3台が入賞してポイントを稼ぎました。バーレーンの序盤でホンダがメルセデスを猛追している姿見て、私(国沢光宏)も気づいたら目頭が熱くなってました。

 レッドブルは優秀です。昨シーズンも非力といわれたルノーのパワーユニットで4回勝っています。

「メルセデスやフェラーリに少しだけ届かない」といわれる、いまのホンダなら遠からず表彰台の真ん中に立てるでしょう。一方、ホンダ自体も現在進行形で改良を続けています。シーズン後半になれば往年の「凄いねホンダ!」というイメージを取り戻せると思います。

 そうなれば営業系と技術系のチカラ関係も好ましくなります。そうなると最も得をするのがユーザーである私たちです。魅力のあるクルマを適正な価格で買えるようになる上、このところ韓国や中国に押されている技術イメージだって高まるでしょう。思い起こしてみたら日本の技術が世界で評価されるようになったキッカケは圧倒的な強さを持った第2期のホンダでした。

【了】

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Writer: 国沢光宏

Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

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