なぜ、警告音が違う? バック時にAT車とMT車で「警告音」有無の差があるワケとは

普段、オートマチック車を運転していると、シフトを「Rレンジ(リバース)」に入れた際、ピーピーという警告音が鳴ります。ですが、マニュアル車では警告音が鳴らないモデルがほとんどです。なぜ、オートマチック車とマニュアル車に違いがあるのでしょうか。

シフトを「Rレンジ」に入れると音が鳴るのは日本だけ?

 オートマチック車(AT)を運転していると、シフトを「Rレンジ(リバース)」に入れた際、ピーピーという警告音が鳴ります。

 しかし、マニュアル車(MT)を運転すると「Rレンジ(リバース)」に入れても警告音が鳴らないことがほとんど。なぜ、オートマチック車とマニュアル車に違いがあるのでしょうか。

マツダ「CX-5」のマニュアル車

 現在、一般的なオートマチック車のシフトは、「ストレート式」や「ゲート式(ジグザグタイプ)」、「コラム式」、「ボタン式」などに関わらず、「Rレンジ」に入れると警告音が鳴ります。

 これは運転手に対して、「Dレンジ(ドライブ)」との入れ間違いを知らせ、誤発進などを防ぐために備わっている機能です。一方で、マニュアル車(MT)のほとんどは、「Rレンジ」に入れても警告音は鳴りません。

 両者の違いには、操作性が関係しています。オートマチック車は、シフトを「Dレンジ」または「Rレンジ」に入れると、アクセルを踏まなくても全後に進んでしまう「クリープ現象」が発生します。

 この「クリープ現象」によって意図せずにクルマが動く危険性があることから、警告音が鳴る仕組みになっています。普段、よく使う「Dレンジ」で鳴ると警告性が低くなるほか、目障りな音になるために駐車時などの限定された時にしか使用しない「Rレンジ」に入れた場合のみ警告音が鳴るようになっているのです。

 また、基本的にマニュアル車の操作では「Rレンジ」に入れる際、奥に押し込むかプレートを引き上げるなどの意図的な動作をしなければなりません。そのため、誤発進となる可能性が低く警告音がなる必要がないとされます。

 国内ラインナップのほとんどにマニュアル車を設定しているマツダは次にように説明します。

「一般的にオートマチック車では、シフトの操作ミスを防ぐために警告音やメーターパネル上に現時点のシフト位置を表示するなどで、運転手に対して操作状況を知らせています。

 一方で、マニュアル車は自分の意思で操作をする必要があるために、警告音は鳴りません。また、マツダの6速マニュアルであれば左上奥と位置が決まっていることやシフトレバーの上部や付近にシフト位置の図が表示されるなど、ほかの場所に間違えることがほぼないのです」

※ ※ ※

 この「Rレンジ」の警告音は、日本特有といえる代物で輸入車のなかでは、オートマチック車でも鳴らないクルマが存在します。これは、マニュアル車の比率が日本に比べ多く、誤発進する危険性が低いことが要因ともいわれますが、オートマチック車の比率が高いアメリカでも珍しいようです。
 
 また、トヨタとスバルの共同開発車「86/BRZ」では「Rレンジ」時に警告音が鳴ります。操作ミスによる誤発進は、度々問題になりますが、「Rレンジ」に入れた際の警告音は日本の自動車メーカーが安全性を考慮した結果の代物といえます。
 
【了】

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