昔は凄かった! 姿を消した8速MTも存在!? 珍しいトランスミッション搭載車5選

「プリウス」誕生の立役者となった「動力分割機構」

●スズキ「キャリイ」の「AGS」

欧州で広く使われていたAMTを初めて搭載した「キャリイ」

 スズキの「AGS(オートギヤシフト)」は、クラッチとシフト操作を自動で行なう新しいオートマチックトランスミッションです。

 先行してインド市場に投入されましたが、日本では2014年に軽トラック「キャリイ」に初めて搭載されました。

「AGS」の仕組みは、MTをベースにしてクラッチやシフト操作を、電動油圧式アクチュエーターによって自動で行なうものになります。一般的にはAMT(オートメーテッドMT)と呼ばれます。

「AGS」のメリットとしてはMTがベースなので伝達効率に優れ、低燃費に貢献できます。また、高速走行時には一般的なAT車に比べてスリップロスが少ないことから、エンジン回転数を低く抑えるため静粛性も優秀です。

 また、構成部品がMTと共有できるので、コスト削減の効果もありました。

 積極的に加減速したいときはマニュアルモードを選択して、MT車のようなダイレクト感のある走りを楽しむこともできます。

 なお、クラッチやシフト操作が不要なことからAT限定免許で運転が可能です。

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●トヨタ「プリウス」の「動力分割機構」

トヨタが持てる技術の粋が結集された「プリウス」

 世界初の量産ハイブリッドカーとして1997年に発売された「プリウス」は「THS(トヨタハイブリッドシステム)」というハイブリッドシステムを採用しました。

「THS」は一般的なトランスミッションを持たない代わりに、プラネタリーギア(遊星ギア)を使った動力分割機構を搭載しています。

 これは、エンジンの動力を駆動力と充電に分割するシステムで、車輪に駆動力を伝えつつ、一方で発電に使用し、モーターへの電力供給やバッテリーへの充電に使うことができるというものです。

「THS」は低速トルクに優れたモーターと高速走行に有利なエンジンを、走行状況によって使い分けたり組み合わせたりして、常に効率的な走りを実現します。

 また、通常走行時の余剰エネルギーや減速時のエネルギーを発電に回して再利用することで、燃費を向上させることを可能にしました。

 なお、トヨタでは「電気式無段変速機」と呼んでいますが、CVTのような変速機構があるわけではありません。

 現在はシステム全体で高効率・小型軽量・低損失化を徹底追求した「THS II」に進化し、多くのトヨタのハイブリッド車に搭載されています。

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