歌舞伎顔トヨタ「プリウス」は本当に不人気だった? デザイン刷新で復活なるか

プリウス人気は失われたのか?

 マイナーチェンジ前の4代目「プリウス」は、『かつてほど売れない』と言われていましたが、本当に売れていないのでしょうか。

 2018年の年間販売台数は11万5462台で、これは軽自動車を除くランキングでは1位の日産「ノート」(13万6324台)、2位のトヨタ「アクア」(12万6561台)に次いで3位です。

歴代「プリウス」右から初代・2代目・3代目・4代目

 かつてのように年間30万台も販売したり、ランキングトップではないものの、決して売れていないわけではなく、しっかり健闘しているといえます。

 そして販売状況を語る上で欠かせないのが、「プリウス」のポジショニングの変化です。かつてはハイブリッドカーを買おうとした際に選べる車種が少なく、その代表車種である「プリウス」を選んでいた人が多数いました。

 4代目「プリウス」の販売状況について、トヨタの販売店スタッフは次のように話します。

『トヨタを代表するモデルのプリウスは、長年に渡り“ハイブリッド車の代名詞”と呼ばれる存在でした。しかし、最近ではさまざまなハイブリッド車が市販化され、物珍しいものではなくなります。そこに、4代目プリウスのデザイン不評が重なった結果、以前より台数は減っているのです。

 一時期、“歌舞伎顔”というデザインに関する不評がありましたが、販売面では、同社の他ハイブリッド車と比較されるなどで、プリウス以外の選択肢を検討される人が多くなっています』

※ ※ ※

 現在では、ハイブリッドカーが一般化。トヨタだけを見ても、「アクア」「カローラ」「ヴィッツ」そして「C-HR」などたくさんのハイブリッドモデルが選択できます。

 ハイブリッドカーといえば「プリウス」という時代ではないのです。必ずしもプリウスを選ぶ必然性がなくなったことで、相対的にプリウスの販売ボリュームが下がったといえるのです。

 2018年の乗用車販売ランキング(軽自動車を除く)をみると、1位の「ノート」から9位の「ヴイッツ」までの上位車種はすべてハイブリッドを用意する車種もしくはハイブリッド専用車。

「プリウス」に限って見てみると年間台数は11万5462台、1ヶ月で約9622台売れているのです。なお、マイナーチェンジ後の2019年1月時では、7260台(登録台数)となり今後の販売動向に注目が集まります。

 歴代の「プリウス」からすると、現行型になった「プリウス」は従来ほどの爆発的ヒットではなくなり、販売ランキングのトップから陥落したのは事実です。しかしその背景には、「ハイブリッド」という存在の一般化があるのです。

【了】

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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