「ランエボ」譲りの四駆も搭載した三菱SUVの雪上での走破性は? 冬の北海道で試す
三菱の最新モデル「エクリプスクロス」「アウトランダーPHEV」「デリカD:5」を雪上で試乗しました。「ランサーエボリューション」にも搭載された四輪駆動制御技術「S-AWC」を搭載したモデルの走破性はどうだったのでしょうか。
最近の三菱は垢抜けた!?最新モデルの実力を冬の北海道でチェック
三菱自動車のクルマへのイメージを、皆さんはどういう風にお持ちでしょうか?
こと筆者(今井優杏)に関して言えば「それは圧倒的な悪路走破性の信頼性にあるでしょ」です。でも、「同時になんか地味なんだよな」とも思うのです。
そう、いいクルマなんですけど、なんとなく“好きモノ感”もあるし(ダカール・ラリーイメージからなのでしょうか)、普通にショッピングリストに入ってくるイメージは、たしかに無いとは言えないような気がします。
しかし皆さん、ここのところ三菱のクルマたちが、従来から備えていたクルマとしてのマニアックさ・メカっぽさ・そこからもたらされる圧倒的な四輪駆動制御はそのままに、いつのまにやらコッソリ垢抜けてきているのをご存知でしょうか。
そんな三菱の直近モデルばかり、つまり「エクリプスクロス」、モデルチェンジを受けた「アウトランダーPHEV」、そして新旧「デリカD:5」の3モデル合計4台を、絶好の走破性チェック環境である北海道にて試乗してきました。
三菱の四輪駆動制御技術「S-AWC」とは
その前に、雪道試乗といえば三菱のこの技術のことを語らないわけにはいきません。それは、三菱の誇る四輪駆動制御技術「S-AWC」です。
そもそもは1987年、「ギャランVR-4」に搭載された四輪制御技術「SWC(スーパー・オールホイール・コントロール)」からスタートしたこの思想(そうです、ある固定の技術のことだけではなく、四輪制御に関する“思想”なのが面白いです)は、『四輪のタイヤ能力をバランスよく最大限に発揮させて、“意のままの操縦性”と“卓越した安定性”を実現する、四輪運動制御技術の開発思想』とプレゼンテーションには記載されています。
ごく簡単に言えば、4輪のタイヤそれぞれに発生する前後Gや横Gに対してのタイヤの摩擦(接地)を、あらゆる方向のGに対してもうまく分散させるにはどうしたらいいのか、と追求してきたということです。
この「AWC」は世代を追うごとにさらに進化し、2007年の「ランサーエボリューションX」から「S-AWC」となりました。このSはSuperのSです。
そのスーパーな名前に恥じぬほど、この制御のマニアックなことには舌を巻きます。日本名でも「車両運動統合制御システム」と表記され、「AWC」時代のGに対するマネジメントだけではなく、前後輪間トルク配分(四輪駆動技術)、左右輪間トルクベクタリング(アクティブ・ヨー・コントロール)、四輪ブレーキ制御(ABS&ASC)と、ドライバーが気持ちよいと感じる、途切れめのない電子制御のため、あらゆる方向からアプローチを図っています。