豪華、ドヤ顔…なぜミニバンは幾度となく変革する? 平成の30年はミニバンの歴史といえる理由
自動車メーカー各社のミニバン戦略とは
『ミニバン』の変革とは、実際にどのようなものなのでしょうか。各社では、『ミニバン市場』での生き残りを掛けた戦略を展開します。
ホンダでは、上級ミニバンの「エリシオン」を2013年に廃止し、「オデッセイ」と統合させる形で、高級路線へとシフトした「オデッセイ」を投入。
マツダにおいては、2017年まで「ビアンテ」がミニバンとして残っていましたが、3列シートを標準化した上級SUV「CX-8」に変わって姿を消しています。
同様にスバルでも、ミニバンモデルの「エクシーガ」を2015年に路線変更し、SUVモデルの「エクシーガ クロスオーバー7」を2018年まで販売するなど、国産メーカー各社でさまざまな施策を行っていたのです。
一方、トヨタで現在市販されているミニバンは、「エスティマ」「ハイエース」を除くと2000年前半に登場しています。
さらに、「ヴェルファイア(2008年)」や「エスクァイア(2014年)」といった新モデルの追加や「シエンタ(2列シート仕様)」を2018年に発売するなど、他社の方向性とは逆でミニバンに力を入れています。
2019年2月には、三菱「デリカD:5」のマイナーチェンジモデルが発売。フェイスデザインが大幅に変更され、話題となっています。
最近のユーザーはミニバンに対しどのようなニーズを持っているのか、大きくイメージを変えた新型「デリカD:5」を販売する三菱のセールススタッフは次のように話します。
「最近の『ミニバン』は、今までの“一般的なファミリー層向け”では売れにくくなっていると思います。
現在市販されているミニバンには、多人数乗車や高い積載量は当たり前という前提があった上で、個性を求められるようになっています。そのきっかけは、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のような従来のファミリー層とは少し違うニーズの方が多くなったことが大きな要因といえます。
そのため、新型「デリカD:5」では、従来のデリカD:5が持つオールラウンドミニバンという個性を残しつつ、都会的なスタイルや使い勝手を考慮したデザインに変更しているのです」
このように、『ミニバン』は平成の30年間で時代のニーズに合わせて次々と変化しています。最近では、さまざまな業界で“価値観の2極化”が進み、『安価か高価』『多様化または一様性』といった流れがあるようです。
現在のミニバンは、トヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」を始めとする従来のファミリー層に向けた100万円台から200万円台のモデルが売れ筋です。
または、価格帯の大半が400万円を超えるトヨタ「アルヴェル」や日産「エルグランド」、ホンダ「オデッセイ」を代表とする高級ミニバンの2極化へ棲み分けされているといえます。
【了】