自動運転車なら飲酒もできる? 世界的に期待される「飲んでも自家用車帰宅」は可能か

自動運転レベルとは何がどう違う? 

 ここ数年、自動運転に関する報道が多くなってきました。ニュースでは、ハンドルをいつでも握れるような手つきで、事実上の手放し走行する様子が流れます。

 トヨタ、日産、ホンダなど自動車メーカー各社は高速道路や一般道路で自動運転の走行試験を繰り返し実施。一方で、アメリカに目を向けると、2018年は自動運転の実験中に歩行者をはねる死亡事故が起きるなど、自動運転の安全性について疑問を持つ人が増えました。

自動運転に関連する実験は、各所で行われている(自動バレーパーキングの実験イメージ)

 そうした中で、自動運転ついて「レベル」という表現を、テレビやネットニュースで目にすることがあると思います。自動運転ではない普通のクルマは「レベル0」、自動運転の性能が上がればレベルも段階的に上がり、完全な自動運転は「レベル5」という分類があります。

 これは、アメリカの自動車技術会が2012年に発案。これを、2016年にアメリカの運輸省が採用し、日本を含めて世界各国で「自動運転の目安」として使っているのです。

 先にご紹介した、パーソナルカーは自動運転レベルでは「0から3」に相当します。サービスカーは「レベル4」と「レベル5」になります。

 つまり、「レベル3」と「レベル4」の間に、自動運転に関する大きな違いが存在します。「レベル3」までは、飲酒はできませんが、「レベル4」以上では飲酒は可能と考えるのが自然です。

「レベル3」では、少なくともひとりの乗員が運転席に着座。高度な自動運転への切り替えは可能で、高度な自動運転中に読書やメールのやり取り、また仮眠は可能になります。

 ただし、繰り返しますが、飲酒は絶対にできません。自動運転から手動運転への切り替えを、自動運転のシステムから言ってくる可能性があるからです。

 そのため、『うちのプリウス、いまは自動ブレーキがついているけど、10年後の新型プリウスは自動運転になっているから、飲んでも帰りは楽々自動運転になる』という話は実現しない可能性が極めて高いといえるのです。
 
【了】

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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