VIPが乗らずとも…最近は聞かなくなった「VIPカー」 憧れの高級サルーン5選
「VIPカー」という言葉も最近聞かなくなりましたが、かつて高級サルーンは憧れの的で、「クラウン」「セドリック/グロリア」をはじめ各メーカーから多数ラインナップされていました。そこで、今でも買えるVIPカーを5車種ピックアップして紹介します。
VIPは乗っていなくても「VIPカー」と呼ばれた高級サルーン
1988年に日産が一般オーナー向けの最上級モデル「シーマ」を発売した後、バブル景気の追い風もあり国産高級セダンの販売増につながりました。トヨタも1989年に8代目「クラウン」のマイナーチェンジで4リッターV型8気筒エンジンを搭載して「シーマ」人気に対抗し、さらに「セルシオ」を発売して日本のパーソナル高級サルーン市場を拡大しました。
そんな高級サルーンをベースに改造する「VIPカー」ブームが起こります。VIPは「Very Important Person」ですから、いわゆる要人が乗る車を目指した改造車=VIPカーだったのですが、見た目が派手な改造を施したクルマが多く現れ、その後の暴走族系スタイルとして定着しました。
いまとなっては、そのような改造車は見かけなくなり、単に高級サルーンをVIPカーと認識している人も多いようです。しかし、後継車種は日本のパーソナル高級サルーンとして現在も人気があります。
そこで、現在販売されている国産高級サルーン5台をピックアップして紹介します。
●トヨタ「クラウン」
初代トヨタ「クラウン」(トヨペット「クラウン」)は1955年に発売されました。当初は1.5リッターエンジンを搭載して、徐々に排気量を拡大していき、1962年発売の2代目からは後の「クラウン」の主力となる直列6気筒エンジン搭載車も追加されました。代が変わるたびに出力の増大と豪華装備や先進装備が充実していき、日本を代表する高級サルーンとしての地位を確立しました。
2018年デビューの15代目は、車載通信機DCMを全車に標準搭載するなどのハイテク装備が充実しているのはもちろんですが、トヨタ自身が「TOYOTA史上、最高に楽しいクルマ」とアピールするほど、走りも進化しました。
前後輪ともにマルチリンク式となったサスペンションや高剛性化したシャシなどから、運転の楽しさを重視した進化の方向性を明確にしています。
システム最高出力359馬力の3.5リッターV型6気筒エンジン+ハイブリッドシステムと、226馬力の2.5リッター直列4気筒エンジン+ハイブリッド、245馬力の2リッター直列4気筒ターボエンジンがラインナップされ、さまざまなニーズに対応しています。
またデザインも滑らかなルーフからテールエンドへの美しいラインなど、とても魅力的なクルマになっています。
価格は、ベーシックな「2.0 B」で460万6200円(消費税込、以下同様)、最上級の「3.5 G-Executive」が718万7400円。もっともスポーティーと言われる「2.0 RS Advance」は559万4400円となっています。
●日産「フーガ」
初代日産「フーガ」は、長く続いた日産の高級サルーンで、かつVIPカーとしても人気のあった「セドリック」と「グロリア」の後継車として2004年にデビュー。
2010年から2012年まで「シーマ」が不在だった期間は、日産の最上位車種として君臨していました。しっかりした足回りのセッティング、滑らかなボディラインと上質なインテリアは、それまでの日産車とは一線を画すもので「日産ではなくインフィニティ」とまで言われたほどです。
2009年に発売された現行モデルの2代目「フーガ」は、333馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒エンジンと、225馬力の2.5リッターV型6気筒エンジン、306馬力の3.5リッターV型6気筒エンジンと68馬力のモーターでシステム最高出力364馬力と大パワーなハイブリッドもラインナップ。
これらのエンジンには、ロックアップ領域を大幅に拡大したマニュアルモード付フルレンジ電子制御7速オートマチックトランスミッションが組み合わされています。
もちろん先進安全装備である「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」も装備しています。
「フーガ」の価格は、ベーシックな2.5リッターの「250GT(2WD)」は480万600円、3.5リッター+ハイブリッドシステムの「HYBRID VIP」は696万4509円。専用の20インチ大径ホイールとスポーツチューンドサスペンション、4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキが与えられたスポーティグレード「370GT Type S」は571万2120円です。