トヨタ「クラウン」が抱える危機感とは? 新型で“若返り”を図った理由
15代目となるトヨタ新型「クラウン」は、最先端の技術を取り入れて先代モデルから大きく進化し、若返りを図りました。なぜ「クラウン」は若返らなければならなかったのか、その理由に迫ります。
最先端の技術を取り入れたトヨタ新型「クラウン」
2018年6月26日に発売された第15世代目となるトヨタの新型「クラウン」は、「若返りを狙った」と言われており、先代モデルから大きく変化したところが特徴です。では、いったい、なぜ新型「クラウン」は若返りを狙ったのでしょうか。そして、また、それは成功したのでしょうか。
新型「クラウン」の特徴は、大きく3つと言っていいでしょう。1つめは、最近の流行を取り入れた“デザイン”。2つめは、先進の“コネクティッド”機能の採用。そして最後の3つめは欧州で鍛えた“走り”です。
デザインは、後席ドアの後ろのCピラー部にも窓を備えた6ライトウィンドウを「クラウン」として初めて採用しました。流麗なイメージと斜め後ろ方向の視界性向上という2つのメリットを持つデザインです。
コネクティッド機能としては、車載通信機DCMを全車に標準搭載し、T-Connectサービスの3年間無料提供を実施。オペレーターやスマートフォンを通じてサービスが活用でき、利便性が大きく向上しています。
そして、走りの面では、ドイツの難コースであるニュルブルクリンクサーキットで開発を実施。欧州車と遜色ない走りを目指しました。ちなみに、プラットフォームは一新され、パワートレインも新開発された最新のモノが一部採用されました。
まとめて言えば、中身を完全に新しくして、イメージも一新。その上で、コネクティッド機能搭載を前面に押し出したというのが、新型の「クラウン」です。
“伝統の~”“保守的な~”というイメージを「クラウン」に抱く人たちからすれば、新型「クラウン」はあまりに大きな変化と感じたはず。さらに、コネクティッドを強くアピールすることにより、明確に「若い世代」を狙うというスタンスを表明し、強い意志を感じることができる新型モデルに生まれ変わりました。
顧客の高齢化が進む「クラウン」の危機感
若返りが必要なのは「クラウン」にとって確かなことでしょう。最近の「クラウン」のオーナーは高齢化が進んでおり、将来的にユーザーが減ってしまうのが最大の不安です。
トヨタにたずねたところ、2012年12月に発表された14代目の先代「クラウンロイヤル/アスリート」の新車発売1か月後の受注では、顧客の60%が60代以上でした。その翌年に出た「クラウンマジェスタ」でいえば70%が60代以上となっており、高齢化は否めません。
その対策として、コネクティッドや流行のデザイン、ホットな走りをアピールするのは、若い世代に対して有効な手段でしょう。
とはいえ、「クラウン」の歴史を振り返ると、それだけではないことに気づきます。それは「クラウン」の歴史は、挑戦と変革で彩られているからです。