時代に逆行!? パワー競争が再燃の兆し 300馬力以上の国産高性能車が次々と登場するワケとは
2018年の新車販売台数では、軽自動車が市場全体の36%を占めました。小型/普通車も販売の上位は、コンパクトカー/ミニバン/ハイブリッドが多いです。ところが意外にも、パワー競争が再燃する兆しが見られるのです。最近になって、最高出力が300馬力以上の高性能車が次々と登場するようになりました。
なぜいま300馬力以上の高性能車が次々と登場?
2018年(暦年)の新車販売台数を見ると、ホンダN-BOXやスズキスペーシアなどの軽自動車が、市場全体の36%を占めました。小型/普通車も、販売の上位は日産のノートやセレナ、トヨタのアクアやプリウスで、軽自動車/コンパクトカー/ミニバン/ハイブリッドが多いです。平成も終わりを迎えようとしている今、高性能車が憧れだったのは、昭和の昔話に思えます。
ところが意外にも、パワー競争が再燃する兆しが見られるのです。最近になって、最高出力が300馬力以上の高性能車が次々と登場するようになりました。なぜ時代に逆行ともとれるパワー競争が復活したのでしょうか。
筆頭は先ごろプロトタイプが披露されたトヨタ新型「スープラ」です。直列4気筒2リッターターボも選べますが、本命は直列6気筒3リッターターボで最高出力は340馬力に達します。エンジンやプラットフォームなどの主要なメカニズムが、BMW製になるのは残念ですが、本格的な高性能スポーツカーです。
同じトヨタが2018年に発売した現行「クラウン」は、V型6気筒3.5リッターエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載して、エンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は359馬力に達します。
レクサス「LS」は、2017年末にフルモデルチェンジを行い、クラウンと同じV型6気筒3.5リッターのハイブリッドに加えて、3.5リッターのツインターボも用意しました。この最高出力は422馬力とかなり強力です。
同じく2017年に導入されたホンダ「シビックタイプR」は、2リッターターボながら320馬力を発生します。
このほかマツダは「CX-5」と「CX-8」は、直列4気筒2.5リッターガソリンターボを加えました。最高出力は300馬力に達しませんが、実用回転域の駆動力が高いです。動力性能は従来から設定される2.2リッタークリーンディーゼルターボでも十分に優れ、燃費も良好ですがあえてガソリンターボを追加しました。
輸入車は挙げていくとキリがありませんが、設計の新しいジャガー「Eペイス」の直列4気筒2リッターターボは最高出力が300馬力です。フルモデルチェンジを受けたアウディ「A8」は、V型6気筒3リッターターボが340馬力、V型8気筒4リッターターボは460馬力です。
新型「スープラ」などの開発者からは、「大切なのは動力性能の数値ではなく感性」という言葉が聞かれます。つまり300馬力オーバーを狙って開発したわけではなく、豪快な加速や高回転域の伸びのよいエンジンを開発すると、結果的に最高出力も高まっているのです。