トヨタ「ハイラックス」が若者から支持される理由 日本でピックアップが売れないは間違い!?
ピックアップトラックで唯一国内販売されているトヨタ「ハイラックス」。ファッションとして購入する若者が多いといいますが、なぜ若者から支持を得ているのでしょうか?
”マーケット(市場)は自分で作る”を体現したトヨタ「ハイラックス」
現時点で一般ユーザーが新車として買えるクルマの中で、トヨタハイラックスはかなり個性的な存在でしょう。ボンネットを備えたダブルキャブのピックアップトラックで、乗車定員は5名です。パートタイム式の4WDも装着しています。
以前はボンネットタイプのトラックは普通に売られていましたが、今は空間効率の優れたボンネットを持たないキャブオーバータイプが主力です。売れ筋は軽トラックやトヨタ「ダイナ、トヨエース」などで、ボンネットタイプのトラックは海外向けになって売れ行きを下げました。
その結果、国内では最後のボンネットトラックだった先代「ハイラックス」も、2004年に販売を終えたのですが、2017年に突如復活したのです。
開発者に「ハイラックス」が復活した理由を尋ねると、「先代型が今でも9000台保有されています。しかもピックアップトラックはタフなクルマだから、アウトドアでのハードな使い方にも対応できます。アクティブなライフスタイルの表現にもなるでしょう」という返答がありました。
2004年まで売られた先代「ハイラックス」が9000台保有されていても、先代型はコンパクトな4ナンバーサイズのトラックで、価格も130~150万円でした。現行型は全長が5335mm、全幅は1855mmの大柄なボディを備え、価格は「X」が326万7000円、「Z」は374万2200円です。9000台のユーザーは仕事で使っているのでニーズも異なり、乗り替えてもらうにはムリがあるでしょう。
そこをあらためて開発者に尋ねると「販売してみないとわかりません。またマーケット(市場)は、自分達で作るものです」と話します。
ファッションとして「ハイラックス」を購入する若者が急増
2018年12月17日より、「ハイラックス」に特別仕様車の「Zブラックラリーエディション」が追加されました。
復活から1年少々を経過して、現在の「ハイラックス」の売れ行きとユーザー層を、今回あらためて開発者に尋ねてみると、「今は1か月に約500台を売っています(発売時の目標は1か月当たり約170台)。先代型からの乗り換えはほとんどなく、20代から30代の男性が多く購入しています。ディーラーオプションのベッドライナー(荷台にキズが付くのを防ぐ樹脂製の内張り)が人気で、大半のお客様が装着されます」とのことでした。
高価格車なので、仕事で使う先代型のユーザーの買い替えはあまりないようですが、むしろ若い男性が一種のファッションとして使っているようです。ファッションとなれば、荷台といえどもキズを付けたくないので、ベッドライナーをボディコーティングのように装着しているといいます。
売れ筋グレードは、発売当初は上級の「Z」が80%でしたが、今は60%に下がり、ベーシックな「X」が40%を占めているとのこと。「X」の外観は簡素なので、アルミホイールや外装パーツを好みに応じて装着する素材になっているのでしょう。つまり発売直後に比べて、購入後に装着する外装パーツもそろい、ドレスアップを楽しむユーザー比率が増えたわけです。