世界中で大ヒット! 本格四駆のスズキ 新型「ジムニー」、待ってでも欲しいと思える魅力とは
プロユーザーの意見を取り入れた機能的なデザインと歴代モデルのモチーフが融合
まず外観ですが、丸みを帯びていた従来モデルに対してスクエアスタイルを採用。これは姿勢・状況の把握のしやすさや積載性と言った機能を形にした結果だそうですが、随所に歴代モデルを彷彿とさせる要素を盛り込むなど伝統も忘れていません。
内装も同様の考え方で、水平基調のインパネは過酷な環境における運転のしやすさのため。フラットになったラゲッジスペースは、プロユーザー(ハンターや森林保全関係者)から「もう少しラゲッジを使いやすくして欲しい」という声を反映した結果だそうです。
トレンドに流されずシンプルだが長く使えるデザインは小さくても本物を感じさせ、どことなくリモアのスーツケースやダイバーズウォッチ、高級一眼レフカメラのようなプロ仕様の道具と同じ「ムダのない機能美」が宿っています。
恐らく、有機的なデザインを採用するクルマが多い中、色気を出さずに機能に徹した潔さや足し算も引き算でもなく合理的なデザインが、逆に新鮮かつ個性的に見えるのかもしれません。
実際に乗ってみると、まさしく20年分の進化を実感できます。オフロード性能は従来モデルと変わりませんが、新たに採用されたブレーキLSDトラクションコントロール、ヒルディセントコントロール、ヒルホールドコントロールなどのアシストにより、“誰でも安心して”体感できるようになっています。
乗用車に近づいているが、「まるで乗用車…」とはいかない特有の乗り心地
オンロード性能は従来モデルと比べると雲泥の差で、どちらかといえばトラックに近い乗り味だった従来モデルに対して、確実に乗用車に近づいています。しかしラダーフレーム構造特有の“緩さ”は残っているので、クロスオーバーSUVのように「まるで乗用車のような……」ではないのも事実です。
ちなみに軽自動車の「ジムニー」と、普通車の「ジムニーシエラ」では全幅/トレッドが異なりますが、それにより乗り味に若干差があります。
具体的には「ジムニー」は「軽快/キビキビ」、ジムニーシエラは「安定感/ゆったり」と言った印象です。とくに「ジムニーシエラ」は欧州でも発売されるため、日本の速度域を超えるドイツ・アウトバーンの高速域でもシッカリ走れる性能が備わっています。
パワートレインは「ジムニー」が660ccターボ(R06A)、「ジムニーシエラ」が1500ccの自然吸気(K15B)を搭載、5速MT/4速ATを設定しています。どちらも従来モデルより出力向上に合わせてファイナル(最終減速比)がハイギアード化されているので、高速走行時のエンジン回転数が抑えられ、結果的に静粛性も向上しています。
ただ、こちらもシャシー系と同じく「まるで乗用車のような……」ではなく、100km/h時のエンジン回転数は「ジムニー」が4000rpm近く、「ジムニーシエラ」は3000rpm近いのと、駆動系が発する独特なギア音などは気になる人もいるかもしれません。