自動車業界の未来を占う重要なショー CES2019の動向をプレビュー

CES2019の注目ポイントとは

CES2018で発表された日産のコンセプトカー

 2019年は通信関連の5G(高速で大容量、省電力などが実現された第5世代の無線通信システム)商用化元年ということもあり、ショー全体としては5G関連のソリューションやサービスが注目テーマとなりそうです。基調講演もモバイル・通信関連のVIPのセッションが目立ちます。

 自動車関連でいうと、近年の動向からしてもCASE/MaaS関連技術がメインテーマになるでしょう。具体的なポイントをいくつか挙げると、ひとつ目は、低速で走行する「MaaSバス」のコンセプト提案です。

 MaaS(Mobility-as-a-Service)とは、自動運転やAI、オープンデータ等を掛け合わせることで従来型の交通・移動手段にカーシェアやバイクシェアなどのサービスを組み合わせ、新たな交通システムを生み出すことを言います。

 ときには時速100キロで走る自家用車とは違い、決まったエリアのなかを、時速20から30キロで走る完全自動運転のMaaSバスは、日本を含む世界各地で実証実験が行われており、そう遠くない将来に普及が始まると見られています。

 これまでにも、トヨタ「e-Palette」、フォルクスワーゲン「セドリック」、ルノー「EZ-Pro」などのコンセプトカーが発表されていますが、CES2019でもこれに続くコンセプトが見られるでしょう。

 人それぞれの移動ニーズをより柔軟にカバーするため、マイクロバスか、それより小さなミニバン程度のサイズのコンセプトカーが見られると思われます。

 もうひとつのポイントは、自動運転レベル3以上のコックピットの提案です。

 現在自動運転はレベル2が普及しており、日本国内の状況で言えば、軽自動車においてもACC(アダプティブクルーズコントロール)やブレーキ支援など、レベル2相当の機能が搭載されるようになりました。

 そして今は、いよいよ次のレベル3が公道デビューというタイミングです。

 そういった目的で利用されるコックピットは、従来のような運転だけに最適化されたコックピットではドライバーのニーズに応えられないため、運転モードとリラックスモードでHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス:人間と機械が情報をやり取りするための手段や、そのための装置やソフトウェア)が変化するコックピット、HMIが各社から提案されることになります。

※ ※ ※

 現在の自動車産業は、自動車の電化と知能化が同時に進行しているため、新たな技術領域がどんどん広がっています。そこをいちはやくカバーし、業界標準化を狙う部品メーカーの競争が世界的に激化しています。

 ドイツと日本のメガサプライヤーの陣取り合戦、それに追随しようとするフランス、アメリカ、韓国勢が何を提案してくるのか。CESは、そのような先端技術のお披露目の場として世界中の注目が集まっているのです。

【了】

CES2018に登場した自動車関連技術を画像で振り返る(6枚)

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