日本でも増えつつある「ラウンドアバウト」交差点 災害時に発揮されるメリットとは
災害時に発揮されるラウンドアバウトの大きなメリット
ラウンドアバウトが導入される以前から、「ロータリー交差点」という円形の交差点が存在していました。
ロータリー交差点は正式には「円形交差点」といい、2014年の法改正以降、ラウンドアバウトの「環状交差点」とは区別されています。
中央島があり、円形の車道を一方通行で通行するのは変わりがありませんが、交差点を通行する際の、優先権に大きな違いが存在します。
ラウンドアバウトでは、前途のとおり環道を通行するクルマが優先されるため、侵入するクルマは、環道を通行するクルマがすぎるのを待って侵入する必要があり、これにより環道内の通行がスムーズに行われ、渋滞が発生しづらくなっています。
対してロータリー式交差点では、ロータリー内に侵入する車が優先されるため、ロータリー内を通行する車は、侵入する車があった場合、一時停止をし、道を譲る必要があります。これによりロータリー内の通行が滞り、渋滞の原因となってしまうことがあります。
実際に沖縄県糸満市にある「糸満ロータリー」は、渋滞の原因になっていたため、2015年にラウンドアバウトへ改修、切り替えが行なわれました。
メリット多いが問題点もある「ラウンドアバウト」
交通の流れが良くなり、事故が軽減され、信号機も必要ないなどメリットの多いラウンドアバウトですが、問題点も存在します。
交通量が多いラウンドアバウトは交差点内への侵入が難しく、はじめて通るドライバーは躊躇してしまうことも。また、想定よりも交通量が多すぎると渋滞の原因になることもあります。
交通に関する事柄以外にもラウンドアバウトは、設置に信号機のある交差点より大きな土地を必要とするほか、円の外側を渡る必要がある歩行者や自転車にとっては、少し面倒に感じるかもしれません。
しかし、信号機を設置する必要がないことは、日本では大きなメリットになり得るのではないでしょうか。地震や台風などの自然災害で電気の供給が停まってしまった場合にも、信号機が使えないことによる影響はありません。
過去の災害の被災地や、近い将来に発生することが予測されている南海トラフ地震の被害想定地域で、信号機を必要としないラウンドアバウトの関心が高くなっているようです。
今後もラウンドアバウトは増加していくと考えられ、近い将来には、交通量が多くない小規模な交差点から信号機が撤去される、といったこともあるのかもしれません。
日本で早期にラウンドアバウトが導入された長野県飯田市では、現在、飯田ケーブルテレビで吾妻町と東和町のラウンドアバウトのライブカメラ映像を公開しています。ラウンドアバウトが気になる方はチェックしてみるのはいかがでしょうか。
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