日本車離れが加速か!? ボルボが2年連続で日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのはトヨタが要因?
トヨタ車が2車種残り、お互いの点数を取り合ってしまった
2つ目の要因は、トヨタ車が2車種が残って、お互いの点数を取り合ってしまったことです。私も「クラウン」と「カローラスポーツ」で大いに迷いました。あまり話題になっていないのですが、「クラウン」、「カローラスポーツ」から搭載された「コネクティッド」(繋がる技術)は間違いなく次世代自動車の大きな柱になると予想してます。インターネットの黎明期に、現在の姿を誰も予想出来なかったのと同じです。
こういったケースは、今まで“交通整理”をしてきました。自動車メーカーが候補を絞ってくるワケです。私としてもコネクティッドをぜひ今年の象徴にしたいので、トヨタが1車種を押してくればそちらに10点を入れたでしょう。
しかしトヨタは「クラウンとカローラスポーツはいずれもトヨタにとって大切な車種です」。つまり候補を絞らなかったのです。そうなれば確実に票は割れます。
私はコネクティッドの機能が「カローラスポーツ」よりも多く搭載されている「クラウン」に10点を入れました。「カローラスポーツ」にもたくさん点数を入れたら、もはやトヨタの人のようになってしまうため、「カローラスポーツ」に1点。でも他にも魅力的なクルマがあるので、トヨタだけにたくさん点は入れられないです。今回、私のような投票パターンが多かったようで、実際、総得票はトヨタが1位でした。
そして何より、ボルボ「XC40」というクルマの完成度は魅力的だったと思います。ボルボというブランドは、XC90以降、素晴らしい新型車を連発しています。ライバルとなるBMWの「X2」より「XC40」はお買い得プライスでありながら、安全性や動力性能で大きくリード。レクサス「NX」と比べても価格と安全性で優位に立ち、世界的規模で売れ行きを伸ばしています。
今年ノミネートされたクルマの中で、ボルボ「XC40」が最もバランス良かったことは間違いないです。とはいえ魅力的な日本車が減ったという点についていえば、大いに問題だと考えます。日産など、今年は新型車を1車種も出さなかった。
圧倒的に日本車が強かった日本市場ながら、クルマ好きの間ではジワジワ日本車離れが進んでいるということなのかもしれません。
【了】
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。