新車販売トレンド10年で変化? ガソリン高騰も車重あるSUVやミニバン人気が変わらぬ理由
ガソリン高でもクルマ選びは燃費重視から安全・デザイン重視
前述したことを前提にクルマ選びを考えてみます。例えばハイブリッド車は、簡易式を除けば、普通のガソリンエンジン車よりも大幅に実用燃費が良くなります。普通のガソリン車で10km/Lだったクルマがハイブリッド車だと20km/Lくらいまで走ってしまいます。ガソリン120円で10km/Lのクルマに乗ると走行1万kmで12万円。ガソリン160円になっても20km/Lのクルマなら8万円しかかからない計算になります。そう考えれば、ハイブリッド車はやはりオトクに感じます。
しかし、実際にはハイブリッド車でなくても新型車はエンジン改良やアイドルストップの採用増により、普通ガソリン車でも実用燃費にして10~20%は良くなっています。試算すると14km/L走れるクルマですら、以前と比較すれば120円時代とイーブンです。
そんなことから、多少のガソリン高は皆さんも許容出来る範囲なのかと考えます。もちろん、ガソリン価格が安いに越したことはないですが、直近の販売動向を見ると、10年前のような極端にハイブリッド比率が高くなったということもないです。
興味深いのは電気料金。原油相場の高騰ですぐ値上がりするガソリンに対し、同じ化石燃料を使っている電気料金をみると値上げしていません。
筆者(国沢光宏)も所有するプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」の場合、50kmくらいの走行距離まで100円程度の電気料金で走れてしまいます。電気で走るクルマはオサイフにもやさしいのは間違いないですが、プラグインハイブリッドの販売は以前と変わらず伸び悩んでいます。
結論を出すと、10年前のガソリン高騰は「やがて200円を突破するかも」という危機感もあり、省燃費車に人気が集まりました。しかし今回は比較的落ち着いているように見えます。全般的な動向を見ると燃費の良いクルマを指向する流れにあるものの、極端な変化は出ていません。
10年前のようにガソリン高騰がニュースになっても、直近のユーザー購入動向を見ると、決して燃費が期待できるコンパクトな車種だけではなく、車重が重く燃費的には不利なSUVやミニバンも人気です。以前に比べ、低燃費主義が減りクルマ選びは、安全性やデザイン、ブランドイメージを重視する人が増えたと考えていいようです。
【了】
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。