後輪駆動の新「“水平対向”スポーツカー」に大注目! 旧車デザインに“超高性能”3.8リッターエンジン&6速MT搭載! ポルシェ911カスタム「シンガーDLSターボ」米国仕様とは
30年以上前に製造されたポルシェ「911」を、最高出力約720馬力のツインターボエンジンと6速MTを組み合わせたスポーツカーへと再構築するシンガー「DLSターボ」。2026年1月には顧客車第1号が公開されました。どのようなモデルなのでしょうか。
720馬力の水平対向6気筒ツインターボ×6速MTを搭載
米国カリフォルニアを拠点とするシンガー・ヴィークル・デザイン(以下、シンガー)は、ポルシェ「911(964型)」をオーナーの要望に合わせて再構築するレストアサービス「DLSターボ」を手掛けています。レストアは99台限定で、2026年1月には顧客車第1号となる「ソーサラー(Sorcerer)」が公開されました。
パワートレインには、964型のエンジンをベースとする3.8リッター水平対向6気筒ツインターボを採用。ソーサラーでは最高出力710HP(約720馬力)、最大トルク750Nmを発揮し、トランスミッションは6速MTのみ。後輪を駆動します。
シンガーは、クラシックなポルシェ911をオーナーとともにレストアし、新たな一台へと仕立てるスペシャリストです。新車を量産する自動車メーカーではなく、ポルシェとも提携していない独立した企業として活動しています。
DLSターボが発表されたのは2023年6月です。顧客からの要望を受け、自然吸気エンジンを搭載する「DLS」のレストアサービスにターボエンジンを組み合わせる形で誕生しました。対象となるのは1989年から1994年に製造された964型911で、DLSターボの作業はシンガーの英国拠点で行われます。
レストアでは、まず内外装や機械部品をすべて取り外し、スチール製モノコックがむき出しになるまで車体を分解。元のモノコックに補強を加えて剛性を高めたうえで、軽量なカーボンファイバー製ボディを組み合わせます。
エクステリアデザインのモチーフとなったのは、1970年代後半に活躍したレーシングカー「934/5」です。934/5はターボ化された911のレース仕様として1977年に登場し、SCCAトランザム・シリーズでは全8戦中6勝を挙げてタイトルを獲得しました。
シンガー創業者のロブ・ディキンソン氏は12歳のとき、1977年のワトキンスグレン6時間レースの映像で934/5を目にしたといいます。シンガー設立後もそのときの衝撃を忘れず、934/5をたたえるクルマをつくりたいと考え続けていたそうです。
DLSターボのボディ形状は、数値流体力学(CFD)を用いて空力性能と冷却性能を最適化しています。仕様はオーナーの好みに応じて選択可能で、大型リアウイングと大きなスプリッターを備えるサーキット志向のスタイルと、ダックテールスポイラーやロード向けフロントフェイシアを組み合わせ、空気抵抗を抑えたロード志向のスタイルが用意されています。
さらに両方の仕様を希望すれば、フロントフェイシアとリアデッキリッドのアセンブリーを付け替えられるようにすることも可能です。顧客車第1号のソーサラーはサーキット志向の仕様を採用し、ボディカラーにはリアへ向かうほど色が濃くなる「ファンタジアブルー」を設定。足元にはフロント19インチ、リア20インチの鍛造マグネシウム製センターロックホイールを装着しています。
インテリアでは、ペブルグレーのレザーとパールグレーのアルカンターラを組み合わせ、シャンパンカラーのパイピングを採用。メーターはハンドメイドで仕上げられ、そのベゼルにもシャンパンカラーが用いられています。一方で、ノーズリフト機能やエアコン、ナビゲーション、Apple CarPlay接続など、現代的な装備も備えました。

3.8リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンは、1気筒あたり4バルブを採用。シンガーのレストア用エンジンとして初めて、水冷シリンダーヘッドと空冷シリンダー、電動ファンを組み合わせています。さらに2基の可変ジオメトリーターボを備え、エンジン回転数は9000rpmに達します。
走行性能を支える電子制御も充実しており、ボッシュと共同開発したABSやトラクションコントロール、横滑り防止装置を搭載。走行モードには「ロード」「スポーツ」「トラック」「オフ」「ウェザー」の5種類が用意されています。
レストアにかかる費用は、オーナーが希望する仕様によって異なります。今回公開されたソーサラーの費用は明らかにされていませんが、2024年5月時点では、DLSターボのレストア費用は270万ドル(約4億2660万円 ※2026年10月上旬時点の為替レート)からとされていました。
また、2026年7月に英国で開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」では、DLSターボによって仕立てられた2台がヒルクライムコースを走行しています。
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日本では、2024年5月にシンガーとパートナーシップ契約を結んだコーンズ・モータースが、購入からサービス、メンテナンスまでをサポートしています。ただし、2026年8月時点でシンガーが新規受付を行っているレストアサービスは「クラシックターボ(Classic Turbo)」のみで、DLSターボは新規受付の対象には含まれていません。
30年以上前の964型911をベースに、約720馬力のツインターボエンジンや6速MT、カーボンファイバー製ボディを組み合わせて生まれ変わらせるDLSターボ。クラシックな911の姿と現代の技術、そしてレーシングカーのエッセンスを融合させた、シンガーならではの一台といえそうです。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。























