今こそ“古いジャガー”!? “100万円”くらいで狙えるお買い得「XJ」実際どう? 現代の高性能モデルにない魅力とは

英国・ジャガーは2026年10月7日、新型ラグジュアリー4ドアGT「Type 01」を世界初公開、同社久しぶりの新型車なだけに大きな話題となっています。そんなジャガーの過去の最上級セダン「XJ」は、新車時こそ高額なクルマでしたが、中古ではかなり現実的です。そんなXJの中古車を西川 昇吾氏が試乗し、レースアンバサダーの赤城ありささんと共にレポートします。

あの「Type 01」のジャガーが作った“元”最上級セダン

 高値の華であったクルマが手の届く存在なっている…それは中古車の魅力の1つです。現代で多くの人々が憧れたモデルに今乗ってみるとどんな印象を受けるのか。

 今回はジャガー伝統のサルーンである「XJ」の限定モデル「XJR100」に20代の筆者(西川 昇吾)とラリー参戦経験もあるレースアンバサダーの赤城ありささんが実際にレビュー&試乗をして、若手目線で率直に感じた印象をお伝えしていきます。

「XJR」を試乗&レビュー!
「XJR」を試乗&レビュー!

 XJR100は2001年末に日本市場に投入された限定モデルです。ジャガー伝統のモデルであるXJとしては1994年登場の6代目とされるモデルの終盤に投入された限定モデルになります。

 1998年にマイナーチェンジが行われ後期型になったのですが、それまで直列6気筒とV12がラインアップの基本であったのに対して、この後期型からV8がラインアップの中心となりました。(3.2Lと4.0LのV8をラインアップ)

 このXJR100は4.0Lエンジンを搭載するスポーツ系グレード「XJR 4.0スーパーチャージドV8」をベースに、スポーツ性と豪華さを更に高めた限定モデルです。当時ジャガーから販売されていたクーペXKRをベースとした限定車「XKR100」と共に世界限定500台で販売されました。日本市場へは「XJR100」が30台、「XKR100」は50台導入されています。

 限定車だと一目で分かるポイントはボディカラーとホイールで、アンスラサイトと呼ばれるブラック系のメタリック塗装とXJR100とXKR100にのみ装着された専用デザインの9本スポークホイールの組み合わせとなっています。

 そのほかウォームチャコールのレザーシート、スポーツパッケージ「Rパフォーマンス」の各パーツ類が装着されているなど、特別感の漂う1台です。

 なお、このXKR100の金額はベースとなったXJR 4.0スーパーチャージドV8から+90万円高で、当時1200万円でした。

 希少な限定車ということもあり、市場に出回っている個体はごくわずか。この原稿を書いている段階では1台しかネットで見当たらず、9.1万キロの個体が車両本体価格268万円でした。なお、ベースとなったXJR 4.0スーパーチャージドV8も5台とごくわずか、価格は状態によって異なり90~280万円とピンキリです。

 実際にXJR100を目の前にすると「こんなに低いセダン、あったんだ…」と思わせてくれます。歩行者保護の観点から、近年はノーズが低いクルマを作るのが難しくなっています。そのため一定以上の年式が経過したクーペモデルはノーズが低いと思うものが多いですが、セダンでも低さに圧巻されるとは…といった次第です。

 なお赤城さん的にはフロントノーズに鎮座するマスコット、“リービングキャット”が刺さったようです。

「今どきだとこういったボンネットに立体的なマスコットが配置されることないですよね。ついまじまじと見てしまいたくなる感じです。最近のクルマになくて、この時代のクルマにある外見的特徴が『エモい!』って思わせます。あと、確かに低いですけど、座ろうとするとあまり低くなくて、想像より乗り降りがしやすくて驚きました。やっぱりスポーツカーじゃなくて、高級サルーンなんだなぁという印象です。」

 乗り込むと高級車の伝統であるレザーとウッドパネルの組み合わせがお出迎えしてくれます。今でもこの組み合わせを残している高級車はありますが、以前よりも選べるモデルの種類は少なくなった印象があります。

 この高級車の王道をいく組み合わせは赤城さん的にも好印象のようです。

「スゴく木目がキレイですね!なかなかクルマに乗ってウッドパネルを見ることが少ないので、こちらもボンネットのマスコット同様にじっくり見てしまうポイントです。あとシートの乗り心地が良いのも印象的です。」

レザーとウッドパネルを組み合わせた”上質空間”
レザーとウッドパネルを組み合わせた”上質空間”

 実際に走り初めて見るとスポーツ系の限定車であっても、高級サルーンにふさわしい上質な乗り心地とコンフォート性能を有していると感じました。

 ただ、コンフォート性能をどのように実現しているかの方程式がパワートレインを中心に今どきとはちょっと違う感じです。

 最近のサルーンはハイブリッドなど電動モーターの力を使って、シームレスな加減速と高い静粛性を実現しているのですが、このXJR100には当然ハイブリッドなどの現代的なメカニズムは搭載されていません。

 大排気量とスーパーチャージャーで低回転域からトルクフルなエンジンは、回転を回さずとも涼しい顔で悠々と走ってくれます。そしてV8は多い気筒数で振動が少ないのも印象的です。

 大きな低回転トルクとマルチシリンダーで、「高回転でなくても余裕の走りが出来るから」高いコンフォート性能を実現しているのです。これが昔ながらの高級車の王道の方程式であることを改めて実感しました。

 確かにこのXJR100は最高出力370PSを発生するハイパフォーマンスグレードですが、ブン回すための370PSではなく、余裕を持って走るために370PSというハイパワーを有しているのです。

 なお、赤城さんもその乗り心地には助手席で感心している様子でした。

「ネオクラシックと聞いて、あまり乗り心地良くないのかな?と思いましたが、静かで振動が少なくてビックリしました!乗り込みやすさもあって乗り味は快適なのにも関わらず、ボンネットのマスコットやキレイな木目のウッドパネルとか、今のクルマにはない印象を持ち合わせているのが良いですね。自分で所有すると大変そうですが、快適性とややクラシカルな非日常体験という組み合わせが味わえることを考えると、出先のトラブルが無ければ助手席に乗るのは全然アリです!」

 今どき水準からすると極悪な燃費、エアコンなどの快適装備も含めたベストコンディションの維持、Bluetoothなどの現代的なオーディオの再生方法へのアップデートなどなど、手元に来てからやらねばいけない各種ハードルはありますが、キッチリ仕上げればネオクラシック高級サルーンはデートカーとしても通用しそうです。

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Writer: 西川昇吾

1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。

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