名車「スーフォア」が帰ってきた! ホンダ新型「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」発売! 実際に走らせて分かったその偉大さとは!?
約4年の時を経て、あの「スーフォア」が帰ってきました。400ccクラスの直列4気筒エンジンならではの爽快な吹け上がりと軽快なハンドリングに加え、ホンダの最新技術「Eクラッチ」を標準装備。しかも価格は99万8800円というバーゲンプライスです。なぜ「CB400 SUPER FOUR(スーパーフォア)」は復活したのか? その背景と進化、そして実際に乗って感じた魅力をバイクジャーナリストの青木タカオさんが解説します。
帰ってきた日本のスタンダード
「これぞ、日本のヨンヒャク! これこそ“スーフォア”だ!!」
嬉しくて、ヘルメットの中で笑みがこぼれる筆者(青木タカオ)です。どんな操作も軽く、スムーズ。車体は思い描いたラインを気持ちよくトレースしていきます。
低回転域ではトルクに余裕があり、スロットルを開ければどこからでもスッと前へ出ていく。さらに回転を上げていけば、直列4気筒らしい伸びやかさが際立ち、胸のすくようなサウンドとともにパワーが右肩上がりに盛り上がっていきます。
軽い車体に、軽やかな吹け上がり。そして、高回転まで一気に伸びていく400cc直列4気筒エンジン。この組み合わせが、やっぱりいい。
いま、バイクファンの間で大きな話題となっている、ホンダの新型「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」に乗ってみました。
教習所でもお馴染み400ccクラスの王者
1992年に初代モデル(NC31)が登場して以来、30年以上にわたってホンダの重要なブランドであり続けた「CB400 SUPER FOUR(スーパーフォア)」は、普通二輪免許で乗れる上限となる400ccクラスで、実力・人気ともに高く、日本のバイク市場を牽引してきました。
教習車としても広く使われ、「バイクの乗り方をスーフォアで覚えた」というライダーも少なくないでしょう。まさに、日本のバイクのスタンダードです。
それだけに2022年の生産終了は、多くのファンにとって寂しいニュースでした。ところが、それからおよそ4年後に、ホンダはこの名車を甦らせたのです。
中国市場の活況が生んだ
なぜ「CB400スーパーフォア」は復活できたのでしょうか。その背景には、中国のバイク市場の活性化があります。
中国では現在、500ccクラスのモーターサイクル市場が熱気を帯びています。ホンダではまず、フルカウルモデルへの人気を背景に「CBR500R FOUR」の企画・開発が進められました。
ところが開発を進めるうちに、中国ではカウルを持たないネイキッドモデルへの人気も高まっていきます。そこで開発されたのが「CB500スーパーフォア」でした。
そして、そこには日本から中古車として渡っていった「CB400スーパーフォア」の存在もありました。日本で長年愛されてきたバイクが海を渡り、中国のファンにも支持され、その市場の広がりが、今回の日本向け400ccモデルという新たなチャレンジにつながったわけです。
そう考えると、この復活劇には中国市場の成長という大きな追い風があったとも言えるでしょう。日本のライダーとしては、復活させてくれたホンダに感謝するとともに、海の向こうで「CB400スーパーフォア」を支持してくれた中国のバイクファンにも「ありがとう」と言いたくなります。
新たなスタンダードへ
「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」の開発責任者、中村拓郎さんに話を伺うと、今回のモデルを開発するにあたって、先代モデルをそのままオマージュすることが目的ではなかったと言います。
目指したのは、もう一度「新たなスタンダードバイク」を作り直すこと。「誰が乗っても扱いやすく、街中からワインディングまで、さまざまなシチュエーションで楽しめる。そんなオールラウンドな高性能バイクを目指した」と言います。
実際に乗ってみると、その狙いがよくわかります。最高出力は58PS/11500rpmで、先代(NC42)の56PS/11000rpmから大幅にパワーアップしたわけではありません。

しかし、車両重量は従来型より14kgも軽くなっています。さらに驚かされるのが、2気筒モデルの「CBR400R(NC65)」とエンジン単体重量が、なんと同じ52kgであること。フレームに至っては7kgも軽量です。
直列4気筒エンジンを積みながら、ここまで軽く仕上げてくるあたりはさすがホンダ、その技術力には脱帽です。
この大幅な軽量化が、乗った瞬間から効いてきます。車体を寝かし込むときの素直さ、そして切り返しでの軽快感。前後17インチの足まわりとディメンション、徹底追求された着座ポイントをはじめとしたライディングポジションが生み出します。
「ハイパーVTEC」から電子スロットルへ
先代を語るうえで外せないのが、ホンダ独自の「ハイパーVTEC」です。油圧制御をベースに、設定された回転数になると1気筒あたり2個だった作動バルブを4個へ切り替える可変バルブ機構でした。
簡単に言えば、2バルブ側は中低速域のトルクを重視し、4バルブ側では高回転域の伸びを引き出す仕組み。つまり、ひとつのエンジンに異なる性格を持たせていたわけです。
1999年の登場から「スペックII」、「スペックIII」、そしてインジェクション化された「Revo」へと進化していくなかで、ホンダは「いかに自然に切り替えるか」という難題に取り組み続けました。
初期モデルでは「4バルブに切り替わった!」と感じるほど明確な変化がありましたが、最終的には加速感の継ぎ目を感じさせない、極めて自然な味付けへと進化していきます。
単純にエンジン回転数だけで切り替えるのではなく、スロットル開度とも連携させるという、実に賢い制御でした。
では新型はどうでしょう。「ハイパーVTEC」のような可変バルブ機構は無い代わりに、電子制御スロットルを採用し、ライディングモードによってエンジン特性を変化させています。
「スタンダード/スポーツ/アーバン」という3つのモードを用意し、それぞれスロットルレスポンス、トラクションコントロール、エンジンブレーキの設定を変えています。
「ハイパーVTEC」とは異なる技術でエンジンのキャラクターを切り替え、ライダーの好みや走る場所に合わせて選べるようにしたというわけです。
ラクなのに操る楽しさはそのまま
そして最大のトピックと言えるのが、車名にも冠された「E-Clutch(イー・クラッチ」です。これはクラッチレバーを操作しなくてもいいこと。1速に入れてスロットルを開ければ、クラッチが滑らかにつながり、車体がスッと動き出します。

発進時だけではありません。停止するときも、シフトチェンジするときも、クラッチレバーを握る必要がありません。
しかも、クラッチ操作を完全に奪われてしまうわけではないのが面白いところ。ライダーがクラッチレバーを握れば、即座にマニュアル操作へ移行します。そしてレバーに触れなければ、再び「E-Clutch」が作動するから、ありがたいとしか言いようがありません。
熟練ライダーなら、Uターンや極低速走行などで「ここは自分で半クラッチを使いたい」と思う場面もあるでしょう。そんなときには自分で操作できる。
つまり「E-Clutch」は、クラッチ操作をなくすのではなく、必要なときだけライダーに操作を委ねてくれるシステムなのです。
こうした新しい技術を取り入れながら、誰もが扱いやすく楽しめるという「CB400スーパーフォア」の本質はしっかり受け継がれています。
欲しいのなら迷っている時間はない
そしてもうひとつ驚かされるのが価格です。2026年8月21日に発売された「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」の車両本体価格(消費税10%込み)は99万8800円と、100万円を切ってきました。
年間計画販売台数は4600台。それに対して発売後早くも2700台を受注しています。このペースでオーダーが入れば、年内に完売してしまうかもしれません。
復活した「スーフォア」の人気は、想像以上のものになりそうです。
Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。




















































