ホンダの“ターボエンジン搭載モデル”「CX500ターボ」が凄かった! 500ccながら「ナナハン」クラスの高性能を実現! 最新技術てんこ盛りの意欲作を振り返る
1980年代はスポーツバイク進化の時代。そのひとつの答えがターボチャージャーでした。ホンダの技術的推進の先鋒として1981年に登場した「CX500ターボ」は、明日へのテクノロジーの結晶でした。
世界初!! ターボチャージャーを装着した量産バイク
1982年(昭和57年)のクリスマスは、発売されたばかりのテレフォンカードで公衆電話から、映画『E.T.』を観に行こうぜと彼女を誘う、そんなストーリーが始まりました。
この頃のクルマ好きはターボエンジンに夢中になっていました。エンジンから出る排気の勢いを利用し、タービンという装置でエンジンにより多くの空気を押し込み、高出力を得るという技術です。
既存のエンジンを使用しながら大幅なパワーアップが可能で、当初はスポーツカーに組み込まれました。その時代を知っている世代は「ターボ=速い・凄い・カッコ良い」というイメージを持っていることでしょう。
ホンダもこの1982年に、自社では初めてのターボ付きの4輪車「シティ・ターボ」を発売しています。
そして世界で初めてターボ付きエンジンを量産バイクに採用したホンダ「CX500ターボ」は、「シティ・ターボ」の少し前に登場しました。
排気量500ccクラス(496.9cc)でありながら、ナナハン(750ccクラス)を超える最高出力82PSと最大トルク8.1kg-mという数値を発揮しています。
ベースとなったエンジンは、「GL500」にも搭載されたVツインでした。このエンジンは排気されてすぐの場所にターボのタービンを配置可能で、できるだけ早いアクセルレスポンスを実現します。
当時の最新技術をふんだんに搭載しており、エンジンはコンピューター制御のフューエルインジェクションで、ブースト圧力と点火タイミングの制御や診断システムなども装備していました。

カテゴリー的にはスポーツツーリングモデルですが、車体側にもアルミ製ブーメラン型コムスターホイールや、その後のスポーツバイクの標準的装備となるボトムリンクのリアショック(プロリンク)など、ホンダならでは装備が目白押しでした。
2026年のモーターサイクルショーでホンダブースに展示された「V3R 900 E-Compressor Prototype」では、V型3気筒エンジンに電動式タービンを採用しており、エンジンの回転数に関わらず任意に過給圧をコントロールできるといいます。
「CX500ターボ」の時代から発展した技術でこのプロトタイプが実際にはどんな走りを見せるのか、開発が進み、市販されるのが今から楽しみです。
【主要諸元】
エンジン種類:水冷4ストローク80度V型2気筒OHVターボ
総排気量:496.9cc
最高出力:82PS/8000rpm
最大トルク:8.1kg-m/5000rpm
全長×全幅×全高:2260×720×1345mm
シート高:790mm
始動方式:セルフ
車両重量:239kg(乾燥)
フレーム形式:ダイヤモンド
タイヤサイズ(F):3.50-18
タイヤサイズ(R):120/90-17
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員















